モラハラ、パワハラで自律神経失調症になる?こんな症状に要注意
超過勤務、サービス残業、ブラック企業、パワハラ・モラハラなど、現在の日本の就業事情を表すネガティブなキーワードは数え切れないほどあります。
こういった日本の経済社会ですから、職場そのものがストレスとなり、自律神経失調症を始めとする精神疾患に陥ってしまうケースも少なくありません。
現代の日本人の精神の健康は、個人的な原因ばかりではなく、社会構造や企業理念などからも影響を受けていることを知っておく必要もあるのです。
社会の大きな波に影響されて自律神経失調症にならないように、「モラハラ」「パワハラ」に対する知識をつけておきましょう。
この記事の目次
モラハラとパワハラとは?違いは?
現在、管理職以下の一般社員やアルバイト、パートタイマーを苦しめるものに「モラハラ」「パワハラ」があります。
”モラハラ”とは「モラルハラスメント」の略語で、立場の強い人が弱い人に対してモラルを強要するような行動を指します。
本当の優れたリーダーや指導者が、正しいモラルを下の人に伝えることは、本人の人生の栄養となりますが、多くの場合、強要する側の「エゴ」を正当化するために、モラルを利用しているだけなのです。
こういった歪んだ指導は、強要する人の承認欲求や自己顕示欲を満たすために行われるので、終わりがありません。
いき過ぎたモラハラはもはや「洗脳」に近いものがあり、それを受ける側は個性が崩壊することもめずらしくありません。
”パワハラ”もまたモラハラに近い性質があります。
「高圧的」「強制的」に相手を威嚇するような態度を取り、「脅し」を含む言動によって下のものを従わせるような関係性を構築させようとします。
それを受ける側は日々大きなストレスを抱えて仕事を続けることになります。
日本は昔から縦関係の強い人間関係を作ってきた歴史と価値観があり、こういった日本人ならではの感覚が、モラハラ・パワハラを作り出す原因だともいわれています。
その証拠に、外資系企業にはあまりモラハラ・パワハラは見られないという統計があります。
また、職場だけではなく、「家庭内」において、主に夫が妻に対してモラハラ・パワハラを行うことも増えているようです。
モラハラ、パワハラによってこんな症状が現れたら要注意
モラハラ・パワハラは、それを受ける人には非常に大きなストレスと精神的な重荷を背負うことになり、早く対処をしないと自律神経失調症やうつ病、不安神経症などの精神疾患へと進行することがあります。
会社や家庭内でモラハラ・パワハラを受けていると感じている人が、精神力の許容量を”自分で気づくこと”は難しいといえます。
人は環境に対してある程度”慣れる”ことができますが、本人は「もう慣れた」と感じていても、見えないストレスが蓄積して爆発することもあるので注意が必要です。
以下のような症状や変化があるならば、「見えないストレス」が限界にまで来ている危険性があります。
- 眠れない、眠りが浅い
- 体がだるい、重い
- 便秘や下痢が続いている
- 食欲がない
- 原因不明の肌荒れがある
- 脱毛症が見られる
- 毎朝気分が重く会社に行きたくない、布団から出たくない
- 集中力や記憶力が低下しミスが多い
- 突然落ち込んだり激昂するなど、感情の起伏は激しい
- 常に不安や恐怖を感じている
- 生理不順、生理が止まるなどの症状がある
これらはすべて「自律神経のバランス」が乱れた状態からもたらされるもので、自分で感じていなくてもストレスが限界量近づいている証拠です。
➡薬に頼らず自律神経失調症の改善を目指す際に試してみてほしい2つのこと
モラハラ、パワハラが招く可能性のあるこころの病
モラハラ・パワハラはその人の心を経由して自律神経や脳の神経伝達物質にダメージを与えます。
職場や家庭内のモラハラ・パワハラは、たいていの場合長期化するものですので、少しづつ神経と脳がむしばまれてしまうのです。
モラハラ・パワハラを受けている人が招きやすいこころの病には次のようなものがあります。
- 自律神経失調症
- うつ病
- 不安障害
- パニック障害
- 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
現在急増している「引きこもり」「出社恐怖症」なども、これらのどれかに当てはまる可能性があります。精神性の胃痛や腹痛を訴える人も、精神科で診察をすると上記のどれかに該当することが多いようです。
自律神経の障害は「こころの問題」だけにとどまらず、肉体的な症状も数多く引き起こしますので、自律神経失調症から波及する障害も”無数”と言ってもよいレベルで存在するのです。
➡自律神経失調症からうつ病は併発する?~症状や原因、予防法~
➡自律神経失調症からパニック障害は併発する?~症状や原因、予防法~
一人で悩まないことが大切
モラハラ・パワハラを受けた人の中でストレス障害にまで進行させる人は、その状態を一人だけで悩んでしまっていることが多いようです。
悩みごとを誰にも相談しないことは、心理の中でストレスを倍増させていき、恐怖や不安もまたふくらんでいき、逃げ場を失います。
自律神経失調症からうつ病に進行してしまい、取り返しのつかない不幸を招かないためにも、今から対処できる知識をつけておくことが大切です。
まずは、社内で同じ苦しみを受けている同僚や友人、家族とも悩みについて話し合う場を設けるようにしましょう。
「相談しても解決しない」と思い込んでしまうものですが、第三者の意見に救われることは少なくないのです。
また、”運良く”といえば語弊がありますが、ブラック企業が社会問題となっている昨今では、以前よりも公的機関・NPO法人・民間の相談窓口もたくさん存在します。
〈パワハラ・モラハラが相談できるところ〉
- 全国ユニオン(労働組合・ユニオン連合会)
- 首都圏青年ユニオン
- フリーター全般労組
- 都道府県労働局
ブラック企業の相談できるところは、本来ならば契約違反や労働基準法違反の企業に対処するものですが、現在ではモラハラ・パワハラ相談を聞いてくれるような場所も増えています。
身近な人にしろ、公的な団体にしろ、モラハラやパワハラについて「口を開くかどうか」で大きく結果が違ってくるものなのです。とにかく自分だけの考えの中に閉じこもらず「口を開くこと」が大切です。
「モラハラ」「パワハラ」という外的なダメージには、一般的な自律神経失調症の改善策では不十分なことも多いようです。
ただし、ある程度自律神経を整えていなければ、モラハラ・パワハラに対抗し、適切な行動を取る気力さえ持てなくなるものです。
まずはしっかりと栄養管理と生活リズムを整えることを始めましょう。
➡食生活を見直して自律神経失調症を改善する│セロトニンを増やす栄養素と食事方法
〈まとめ〉
- 「モラハラ」「パワハラ」は立場の強い人間が弱者に対してプレッシャーを与える行為
- 「モラハラ」「パワハラ」を受ける側は精神的に大きなストレスを抱えることになる
- 「モラハラ」「パワハラ」を受け続けると自律神経失調症など精神疾患になりやすい
- 「モラハラ」「パワハラ」に対処するためには一人で悩まないことが大切