自律神経にやさしい働き方で仕事ストレスを減らそう
自律神経が乱れることによる不調は、勤めている会社での「働き方」が原因で起こることが多いようです。
自分の”働き方”を意識する機会はなかなか無いものですが、もし何らかの不調に悩まされているのであれば、一度見直してみると良いかもしれません。
今回は、自分自身を追い詰めず、心と体を健全に保つための「自律神経にやさしい働き方」についてまとめてみます。
この記事の目次
仕事ストレスが原因で精神を病む人は非常に多い
仕事ストレスが原因で精神を病んでしまう人は非常に多いといわれています。
世界の先進国に目をやってみると、日本では有名な「過労死」という言葉が存在しない国が多いことがわかります。
これは、目に見えない日本人の”仕事に対しての考え方と価値観”が、雇用者・経営者の両方にあるからだとも考えられます。
もちろん、日本人の価値観のすべてを否定するものではありません。ただ現代の日本では、そのバランスが少し乱れてしまっているように思います。
昨日まで元気そうに働いていた人が、自律神経失調症やうつ病などを発症させてリタイヤしたり、もっと最悪な事態に陥ることもめずらしくない時代です。
そして、このページをご覧になっている方も例外ではないでしょう。
ストレスの多い現代社会を、健康に生き抜くためにはそれなりのテクニックと工夫が必要です。
ストレスによる不調が出ている人は、まずは自分の「働き方」を見直すことからはじめなくてはなりません。
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働き方を見直して不調を改善しよう
日本の社会人は、昔から「家庭を顧(かえり)みず」とか「人生をかける仕事」などという言葉に”美学”のようなものを感じてきました。実際に、高度成長期を生きた人たちは、そうして頑張ってきた人たちです。
しかし、こういった人たちの生きた環境と現在の環境とでは、さまざまなものに違いがあります。
精神的なものもそうですし、「食生活」や「生活環境」「経済的な価値観」など、実に多くの”違い”があるのです。
現代に生きる私たちは、「現代流の働き方」をしなくては、健康を守ることはできません。
年間3万人を超える自殺者の多くが現役の社会人ですから、自分も決して例外ではないことを知っておく必要があります。
ここ数年社会問題にもなっている「ブラック企業」などは論外ですが、まともな会社であってもその人の「仕事に対する考え方」一つで、毎日受けるストレス量が違ってきます。
もちろん、自律神経失調症になる最大の原因が”ストレス”ですから、いかにそれを減らすような考え方と行動に変えていくかが、働き方改善の基本になります。
溜まってしまったストレスは、帰宅してからこまめに解消していかなくてはなりませんが、それより以前に、仕事中にいかにストレスを溜めないか・・・それが大切なのです。
自律神経にやさしい働き方5選
それでは実際に、仕事中にはどういった考えに変えていけばストレスを減らせるのかを見てみましょう。
①認められたい欲求を減らす
人には「承認欲求」という先天的な欲求があります。
これは、群れや社会を構築して生きるタイプの動物の多くの動物が持つ欲求です。
承認欲求は「認められたい」という欲求であり、バランスが取れた状態ならば、向上心につながるというメリットがあります。
しかし、これが強すぎてしまうと、常に周囲の自分に対する評価や風評が気になり、しだいに間違った感覚が生まれ、それが「ストレス」になっていきます。
「仕事を成し遂げたい」ということと、「他人に認められたい」という2つの欲求が常に頭の中にあり、疲れが倍増します。
また、承認欲求はエスカレートするとさらなる賞賛を求めるようになることもあります。
そして、同僚をライバル視しはじめたりすることでも、ストレスの種をたくさん作る状態に陥ってしまうのです。
②8割主義を目指す(完璧主義を捨てる)
自律神経失調症を始めとする精神疾患の患者に多いのが、「完璧主義者」です。
完璧主義とは、何ごとに関しても、端から端まで納得のいく結果が得られなければ満足しない性格、考え方をいいます。
一般的にも完璧主義を悪いものとはとらえない風潮もあり、これが大きなストレスを生む原因になりえることを知らない人も多いようです。
当然のことながら、毎日の生活の中で「全く失敗しない」ということはありえません。それは完璧主義の人がどれだけ注意深く仕事をしても、何らかのイレギュラーやミスは起こってしまうものです。
完璧主義の人が危険なのは、そういった失敗が実際に起きてしまった場合です。
完璧主義の人が失敗に遭遇すると、それ以外の人よりも精神的なダメージは何倍も大きく、本来の損失以上に落ち込んでしまうことがあります。
常に神経を張り詰めて仕事をこなし、そしてハプニングが起きれば他の人よりも大きな衝撃を受けてしまうのですから、精神がまともでいられないもの当然のことなのかもしれません。
こういったことが原因で強いストレスを抱えがちな方は、まず完璧主義を捨て去ることが最優先です。
捨てるといっても、「すべて適当にこなす」というわけではなく、8割を満点とする「8割主義」を目指すようにしましょう。
③他人本位から自分本位へ
「他人から認められたい」「完璧主義」とは真逆で、自分自身の願望を抑え、周囲に合わせすぎてしまう人も自律神経失調症になりやすいタイプだといえます。
- 頼まれたら断れない
- 他人の顔色が気になり過ぎる
- 自分を犠牲にしてしまう、自分のことを後回しにしてしまう
こういった「他人本位」の人は、自分の能力以上に頑張りすぎて疲れてしまう傾向にあります。
ブラック企業に勤続しつづけ、精神疾患に陥ってしまうのも、このタイプの人が多いようです。
また、会社勤めではない主婦の自律神経失調症患者も、家族のために”自分を犠牲”にしてしまう人が多いようです。
他人本位な考え方をする人もまた、頑張りやさんが多く、周囲から一定の信頼を得ることが多いでしょう。しかし、そのままの状態を続けてしまうと、いつか破錠してしまうときがやってきます。
そうなる前に、「他人本位から自分本位」へ緩やかにシフトしていきましょう。
更年期の女性には自律神経失調症で苦しむ女性が多いですが、家族に理解を求め「今日から料理はしません」「今日から掃除はしません」と宣言したことで、一気に気持ちが楽になり、自律神経失調症の症状が緩和したという事例もあります。
自分の健康を第一に考え、自分が心から楽しめることやリラックスできることに時間とお金を割いてみるもの良いでしょう。
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④忙しいときほど意識的に休む
職種によっては冷静さを保てないほど忙しくなることもあるでしょう。
忙しいときは健康な人でも交感神経が高ぶって不眠症に陥ってしまうこともめずらしくありません。また、気持ちが張り詰めて、自宅に帰っても仕事モードから休息モードに切り替えることが難しくなります。
こういった状況では、すでに心身の不調を抱えている人ならば、症状が悪化しやすくなるのは当然です。
忙しいときほど、”意識的に休む”ことが必要です。
こういった行為を「さぼる」というふうに悪くとらえてしまう人もいますが、休息をとらずに倒れてしまい、仕事を休むような事態よりは、はるかにマシです。
意識的に休息することを「自己管理」だととらえることが大切です。
⑤モチベーションにつながるご褒美を用意する
労働時間の量がそのままストレス量になるわけではありません。
一つの仕事を終えたときに、1万円稼げるのと100万円稼げるのとでは、ストレスも疲労感も違ってくるのは想像できるはずです。
労働に関する「報酬の割合」によって人のモチベーション(目的意識)は違い、受けるストレスまで差が生じてきます。
より「報酬を増やす」ということを実現できればいいのですが、会社に勤められている人ならばこれを自分で変えることはできません。ですから、自分で自分に対して「ご褒美」を与える工夫をしましょう。
仕事に追い詰められたときこそ”自分自身に優しくする”ことが、ストレス対策には有効です。
忙しい時期が終わる頃を想像し、そのときに自分自身が最も喜べるもので、経済的にがまんしていたものなどを解禁しましょう。
旅行やブランド品・趣味のアイテム・少しリッチな食事など、これまで我慢してきたものをご褒美として設定しておくと、モチベーションが生まれて疲れ方やストレスなども大きく違ってくるでしょう。
自律神経失調症を始めとする精神疾患に陥った人の、社会や会社のバックアップはまだまだ手薄です。働けない状態になってしまえば嘘のように会社とのつながりはなくなり、あとは自分でなんとかするしかなくなることもあります。
そうなってしまってから後悔をしても手遅れになってしまいます。
自分の体の調子は自分でチェックし、限界を超えない働き方のバランスを見つけるように努力をしましょう。
〈まとめ〉
- 仕事が原因で精神を病んでしまう人が増えている
- 自律神経失調症を改善するには「働き方」を見直すことが大切
- 「認められたいという欲求を抑える」「完璧主義を止める」「他人本位から自分本位を目指す」とストレスが減る
- 忙しいときにこそ「意識的に休む」ことが大切
- モチベーションに繋がる「ご褒美」を自分自身に与えるとストレスが軽くなる