自律神経失調症と【派遣】について│メリットデメリット、注意点

最近では、「派遣労働」に従事する人が増えています。

そして、その派遣労働者の中に”自律神経失調症”を発症してしまう人が多いとの調査結果があり、その数は年々増加しているのだそうです。

派遣労働をしている人には、正規雇用で働く人とまた違った苦労があり、その独特な雇用形態から従事者に「不安」と「焦り」を感じさせることが原因だと考えられています。

ここでは、派遣労働のメリットやデメリット、働く際の注意点などをまとめてみましたので、ぜひ参考にしてください。

派遣で働くことのメリット、デメリット

派遣会社は、いくつもの提携先を持ち、そこに登録した労働者を派遣するシステムを持ちます。従業員は、そこで半年や1年などの「期間限定社員」として派遣先で働くことになります。

何度も更新を重ねて10年以上も勤続し、ある程度の立場になるケースもありますが、これは稀です。ですから、派遣労働者というのは「将来が見えにくい」労働形態ということになります。

正規雇用ならば、先輩や上司を見ていればなんとなく自分の未来も見えてくるのですが、派遣労働者は会社にとっては「部外者」ですので、それは当然のことなのです。どれだけ頑張っても、契約期間が切れる可能性があれば、人は「目的意識」を強く持つことができません。

未来に希望を持つことで、つらいことでも楽しくこなせることができるのですから、頑張っても先につながらない派遣は「ただつらいだけの職場」と捉える方もいるかもしれません。この部分が、派遣労働の大きなデメリットだといえるでしょう。

また、「いつ切られるか分からない」という漠然とした不安は、小さなストレスの蓄積となって、精神に悪影響を与えます。

ただし、考えようによっては派遣にもメリットがあります。それは、今では当たり前のように起きる「企業倒産」です。

派遣労働者は、派遣先の会社が倒産しても、完全に失業するわけではありません。派遣会社が提携している他の会社に異動できるので、ある意味「最後の防波堤」は整えられているといえます。

また、派遣会社によっては、自分と相性の合わない場合に申し出ればうまく他の会社に転属させてくれるようなところもあり、それもメリット一つです。

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どのような派遣の仕事が良い?

派遣会社を選ぶとき、一般企業の面接とは違い、多くの場合面接などは比較的かんたんに通過できます。また、こちらの都合や希望を聞き入れてくれる派遣会社も多いので、就活者側が「選べる要素」も多いのです。

派遣労働によって、自律神経失調症などの精神疾患にならないためには、まず最初の「仕事選び」が大切になります。

以下のような条件が整っているところを探してみましょう。

自分にとってストレスの少ない業種

派遣会社で仕事を探す場合には、まず自分にとって「ストレスの少ない業種」を選ぶことを最優先しましょう。

金銭的な事情はあるでしょうが、自分に合わない仕事をするほどストレスを感じることはありません。できれば、経験のある職種がベストです。

人は働く職種によって、価値観などにも傾向が生まれます。肉体労働を長くしている人と、デスクワークをしている人では、考え方もリズムも価値観もすべてが違うものです。

職場の人間関係の状態もストレスには大きく関係するので、給料や待遇以外に業種選びも意外に大切なことだといえるでしょう。

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気分転換になる業種

前項では「今まで経験してきた業種」を推奨しましたが、まったく反対の場合もあります。

それは、「前職で仕事選びを失敗してしまったケース」です。

自分に合う仕事だと考えてその業界に飛び込んだものの、長年勤めるに従って業界自体に嫌気が指してしまったような場合には、前職とは真逆の業種を選ぶと「気分転換」に大きく役立つことがあります。

そういった失敗とチャレンジを経験することで、自分がほんとうに続けたい仕事が見つかる人も少なくありません。

これまでは営業や企画などの知的労働をしていた人の中で、精神的に追い詰められて退職し、派遣会社から製造業や建築業に入って、水を得た魚のように自分の長所を発揮できるようなこともあるのです。

なんにしろ、”転職”は人生にとって大きなものであり、ポジティブにもネガティブにも変化します。

「この仕事なら楽しく続けられそう」と思える業種を選びましょう。

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福利厚生が充実している派遣先

派遣労働のデメリットの一つに「福利厚生の弱さ」があります。平成24年に派遣労働法が変り、社会保険は派遣会社側で加入できるようになりましたが、それでも正規雇用社員に比べると手薄さは否めません。

しかし、近年の日本の労働者人口が低下していることで、派遣会社も登録者を確保するために、独自の福利厚生を導入しているところが増えているようです。中にはボーナスや退職金・一時支援金などを用意しているところもあるので、探してみるとよいでしょう。

派遣労働によって自律神経失調症になる原因には「将来への不安」も関わってきますから、少しでも福利厚生のよい派遣会社を選ぶことで、ストレスも軽減されるはずです。

また、派遣先の企業からの「直接雇用」のチャンスがある場合があります。数ヶ月か数年かけて派遣労働をして働き、がんばりや能力が派遣先企業に認められ「ぜひ直接契約をしたい」と申し出られるケースです。

その時点で派遣労働者から正規雇用になるのですから、またとないチャンスだといえます。この条件を受け入れてくれる派遣会社と、そうでない派遣会社があり、それは面接時に質問すれば答えてくれるはずです。

これも派遣労働ならではの「福利厚生の一つ」だといえるでしょう。

派遣で働く際の注意点

派遣で働き、自律神経失調症にならないためには、「派遣労働に対する認識」をしっかりとしておくことが大切です。

前項で解説したように、派遣労働にはメリットとデメリットがあります。職場でトラブルがあった場合でも、派遣会社に申し立てをして解決してもらうこともできますから、労働組合に入っているような利点もあります。

また大きなミスなどをしてしまった際にも、正規雇用社員のような責任を問われることもありません。派遣労働者はあくまで「部外者」であることから、こういったメリットがあるのです。

ただし、自分の頑張りに応じて会社に対して「認めてほしい」といった感覚は持たないほうが得策です。

派遣で働きながら、正規雇用の人たちと同じような待遇を期待してしまうと、それはすべて「ストレス」になるので、はじめからしっかりと自分の中で”割り切っておく”ようにしましょう。

 

日本の派遣労働者の割合は年々増え続けています。

現在の日本企業の経営理念などが背景にあり、これは個人ではどうすることもできないことなのかもしれません。

多くの人がこれから派遣労働への転職をすることになるでしょうが、会社選びや働き方・派遣労働へのとらえ方によっては、自律神経失調症を引き起こしやすい雇用形態だということを認識しておきましょう。

〈まとめ〉

  • 派遣労働にはデメリットだけではなくメリットもたくさんある
  • 経験のある「ストレスを受けにくい職場」を希望することが大切
  • 前職の選択が間違っていた場合には「気分転換できる業種」を選ぶことも有効
  • 「福利厚生」がしっかりとした派遣会社を選ぶようにする
  • 派遣労働の性質を理解しておくことでストレスが少ない状態で働くことができる


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