女性の自律神経失調症│症状・原因・治療法
「最近なんだか調子が悪い」「気分が不安定で落ち込みやすい」「常にダルくて疲れやすい」・・・
こういった症状に悩まされていませんか?
慢性的な頭痛や消化器官の不調、精神的な不安定など、病院で検査をしても数値に現れないのが自律神経失調症の特徴です。
こうした症状が現れ始めると、仕事や人間関係などに悪影響が出ることも多く、心身ともに辛い状態となります。
自律神経失調症を改善するには、まず自分でこの病気の性質をよく知ることが大切です。
このページでは、女性の自律神経失調症の症状や原因、治療法などを詳しくまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
自律神経失調症が女性に多いのはなぜ?どんな時になりやすい?
女性が自律神経失調症になりやすいのは、「女性ホルモンの変動」が関係していると考えられています。
女性ホルモンの分泌司令を出す、脳の「視床下部」は自律神経の出発点でもあり、ホルモン分泌に乱れがあると自律神経にも悪影響が及びます。
女性には、
- 初潮
- 月経
- 妊娠
- 出産
- 閉経
といった、女性ホルモンに大きな変化が現れる時期があります。
どの時期にも肉体的・精神的な不安定な状態が現れますので、そのときに自律神経のバランスも連動して崩れやすくなるのです。
こういった女性特有の精神不安定は、太古の昔に書かれた歴史書物にも記されており、現代になって始まったものではありません。
しかし、文明が発達した現代には、昔には存在しなかったような原因も増えていますので、現代の女性が受けている苦痛は、より大きなものなのかもしれません。
このように、女性が自律神経失調症になる原因の多くが女性ホルモンの急激な変化によるものですので、毎月の月経前後や妊娠・出産、または更年期に発症しやすくなります。
また、これらの時期に家庭や職場の悩み、栄養管理の悪さ、生活習慣の乱れなどが重なることで発症率は格段に上がると考えられています。
女性の自律神経失調症で起こりやすい症状
自律神経失調症の症状は、非常にあいまいで多岐にわたります。
個人差もありますが、代表的なものをまず見てみましょう。
- 頭痛や偏頭痛・頭が重く感じるなどの違和感
- 乾き目、眼精疲労などの目の不調
- のどの渇きや味覚障害
- 動悸、息切れ
- 冷え性、のぼせ、長期間の微熱
- 息苦しく感じる
- 過食、食欲不振、消化不良
- 便秘、下痢
- 手足のしびれ、痛み
- 発汗異常
- 生理不順、強い生理痛
- 疲労感、体がだるい
- 睡眠障害(不眠症)
- 精神的な不安感、恐怖感、イライラ、怒りっぽい、集中力の欠如
一部の症状は内蔵の病気でも起こる可能性がありますので、場合によっては内科を受診するという手もあります。結果に異常が発見されない場合には自律神経失調症を疑いましょう。
上記のような、はっきりとしない女性の不調と相性が良いとされている改善方法に、「漢方」があります。
今では漢方に使われる素材を凝縮したサプリメントがいくつか出ており、食事では摂りきれない栄養素を効率よく摂取することが可能です。
自律神経失調症になる5つの原因
ここでより理解しやすくするために、女性の自律神経失調症の原因を5つに分けて考えてみましょう。
考えられる原因①.生まれつきの体質
”自律神経”は、幼少期にはまだまだ未発達で、思春期を過ぎた頃に完成する神経器官です。
学校の朝礼などで貧血を起こして倒れる子が多かったのを覚えていませんか?
これも自律神経がまだ未発達なことで起きる症状だと言われています。
成長途中に何らかの原因で自律神経の成長が悪かったりすると、大人になって発症しやすくなります。
また遺伝的要因などで身体が虚弱であり、生まれつき自律神経失調症になりやすい女性もいます。
考えられる原因②.休息や栄養素の不足
「休息不足」や「栄養素の不足」は、現代に多くみられる自律神経失調症の原因の一つとされています。
女性の社会進出が当たり前になった昨今では、職場で与えられる業務の幅も広くなり、中には男性と同じような仕事をされている方もおられるでしょう。
こういった現代女性は昔よりも多くの休息が必要になりますが、実際は休んだりリラックスする時間を十分に確保できていないことが多いようです。
また、「摂取する栄養素」にも同じことが言えます。
ひと昔前と比べて、野菜などに含まれる栄養価は著しく減少しており(見た目を重視した栽培方法や、化学肥料の影響によるもの)、もはや野菜や果物だけでは十分な栄養を取り切ることは難しいとさえ言われています。
それに加え、現代の女性は仕事や家事に追われがちで(さらにスマホの使用に費やす時間も増えている)、コンビニ弁当やテイクアウト食品、インスタント食品などで済ませてしまう方は増えているようです。
適切な栄養を十分に摂取できないと健康な体を維持することができませんので、当然女性ホルモンの分泌にも悪い影響が現れはじめます。
まずは意識的にリラックスする時間を取り入れること、そしてストレス対策や自律神経の安定に役立つ栄養素をしっかりと摂取することが大切です。
➡自律神経失調症の改善にハーブティーが効果的な理由とおすすめ商品
➡食生活を見直して自律神経失調症を改善する│セロトニンを増やす栄養素と食事方法
考えられる原因③.女性ホルモンによる影響
「女性ホルモンの分泌状態」の影響で自律神経失調症になりやすいということは、最初にお話しましたね。
そして、月経や妊娠・出産・更年期が関係するもの以外にも、子宮そのものに原因がある場合もあります。
また、女性ホルモンの分泌にはストレスや生活習慣、食生活なども関係していますから、生理期の辛さが慢性化している女性などは要注意です。
PMS(生理前症候群)がひどい女性などは、女性ホルモンの分泌に何らかの異常があると考えられています。
そして、妊娠や出産、更年期には劇的な女性ホルモンの変化がありますので、この時期に自律神経失調症を発症することが多いようです。
「妊娠うつ」「育児ノイローゼ」「更年期障害」なども、女性ホルモンの影響から起きる自律神経失調症が背景に潜んでいます。
➡更年期障害から自律神経失調症を引き起こすケース~症状・原因・対処法~
考えられる原因④.精神的なストレス
最近では職場や学校、家庭内での人間関係によるストレスにも、多くの女性が苦しめられています。
個人主義の価値観が強まっているせいか、コミュニケーション能力に問題のある人が増えたのも原因の一つでしょう。
ストレスは目に見えないので軽くとらえられがちですが、自律神経をダイレクトに悪化させる要因の一つです。
精神的なストレスだけで生理が止まってしまうこともあるので、十分に注意しなければなりません。
➡精神的ストレスによる自律神経失調症を根本から解消するための考え方
考えられる原因⑤.肉体的ストレス
「ストレス」は精神的なものばかりではありません。
血流の悪さや冷え性、運動不足、姿勢の悪さ、過労などから受ける「肉体的ストレス」も存在します。
肉体的ストレスもまた、自律神経のバランスを崩してしまう原因になります。
女性ならではのストレスにはどんなものがある?
ここまでの説明で、ストレスがどれほど自律神経に悪影響を与えるかをご理解いただけたと思います。
ストレスには、「女性ならでは」のものもたくさんあります。
育児や子育て、夫とのコミュニケーション問題、介護などが出産や更年期と時期が重なると、ストレスは倍増しますし、PMS(月経前症候群)が強い女性は体調を崩しやすいために悩みの原因になりがちです。
また、会話が少ないとされる日本の家庭では、女性は家庭での役割に疑問をもちやすいとも言われ、孤立感なども感じやすいと言われています。
男性と対等に扱われることも増えてきた
数十年前までは、夜間10時以降の勤務を女性がすることを法律で禁じていました。
これは次の世代を作る重要な役割のある女性の身体を「社会全体で守ろう」という考えでしたが、時代とともに昼夜逆転の業務も珍しくなくなってしまったのです。
男性ならば問題のないような業務でも女性がすると強いストレスに感じてしまうこともありますし、便秘や冷え性といった女性に起きやすい症状も、慢性化すると大きなストレスになるでしょう。
病院で行う治療法にはどんなものがある?
検査では数値には現れないのが自律神経失調症の特徴ですが、病院で治療を受け付けていないわけではありません。
ただ、自律神経失調症の原因や症状は人によってさまざまですので、個人に合わせた治療法を見つけ出すことは簡単ではないようです。
以下は、病院で行われる自律神経失調症の一般的な治療法です。
自律神経調整薬
自律神経を安定させるための治療薬ですが、精神的なストレスが原因の場合には根本的な解決にはならないことが多いと言われています。
抗精神病薬
精神的なストレスが強い場合には、精神科や心療内科で処方される抗精神病薬を用いる場合があります。
抗うつ薬、抗不安薬、睡眠障害がある場合には睡眠導入剤の処方もあります。
副作用や依存症が起こることもあるため、よく考えたうえで飲む必要があります。
ホルモン剤
女性ホルモンの分泌異常が確定的な原因であるならばホルモン剤(ピル)が有効な場合もあります。
婦人科へ受診をすると処方してもらえますが、不整脈や心臓疾患など、内蔵の持病がある場合には使えないこともあります。
ホルモン剤も副作用が出ることがあるため、すべての自律神経失調症の女性がこれで救われるというものではありません。
漢方薬
東洋医学では古くから女性特有の病気に対して研究され、体系立てられています。
近代医療を主とする大きな病院でも漢方科が常設されていることもあり、上に書いた対処療法と違い、根本的な治療も期待できます。
おわりに
女性に多い「自律神経失調症」の原因や症状を理解することができれば、改善の第一歩を踏み出すことができたことになります。
また、病院での治療を100%当てにできないこともこの病気の性質ですから、自分で自分の身体をよく把握し、生活全体を見直すことも自律神経失調症を改善する際に大切な心がけです。