自律神経失調症で【汗】は出やすくなるのか│原因・症状・治療法・セルフケアまとめ

自律神経失調症になると、多くの人に「異常な発汗」の症状が見られるといいます。

自律神経失調症の汗は通常の汗とは違い、気温などの環境に関係なく流れ出てくるといった特徴があります。

また、思わぬところで汗が吹き出てしまうため精神的なダメージも小さくありませんし、一般的な汗対策が通用しないこともあり、どうしたらよいか迷う人も多いようです。

ここでは、自律神経失調症による「汗」の原因や症状の見分け方、治療法やセルフケアの方法などをご紹介します。症状に心当たりのある方は、ぜひ参考にしてみてください。

自律神経失調症になると【汗】が出やすくなる理由

自律神経失調症は、自律神経を構成する2つの神経である「交感神経」「副交感神経」の切り替わりがしづらくなる症状です。

ストレスなどが原因で自律神経失調症になる場合には、たいてい交感神経が優位になったまま動かなくなり、「緊張」「興奮」といった肉体的な状態が長く続くようになります。

そして交感神経は「汗腺」を作動させる役割も担っていますので、精神的に高まったり気温が高くなると、交感神経が活発になって、それにともない発汗する、というしくみです。

反対に、副交感神経が優位なときはリラックスして体の活動もゆったりとしているので、汗が噴き出ることはありません。

先ほども書いたように、自律神経失調症になってしまうと交感神経と副交感神経がうまく切り替わらなくなり、交感神経の高まりが持続するようになります。その自律神経の高まりに”つられて”汗が出やすくなるのです。

自律神経失調症による【汗】の具体的な症状

自律神経失調症の人は精神的にも不安定になりがちです。

ちょっとしたことにも過度にイライラしたり、反対に根拠のない不安を抱いたりと、目まぐるしく感情が移り変わります。

このとき、交感神経も高まる感情に連動して活性化するので、本来汗をかかないような場面で発汗することがあるのです。

たとえば、自律神経失調症の発汗の症状の特徴は次のようなものです。

〈自律神経失調症の発汗の症状〉

  • 他人と会話をしているときに急に顔がほてり、汗が出る
  • 気温が暑くもなく運動もしていないのに、急に体がほてり発汗する
  • くつろいでいる時間に突然のぼせを感じ汗が吹き出る

 

自律神経失調症の発汗は、ほとんど予兆もなく体温が上昇して起こります。

この、「突然」「理由もなく」「急激に」といったものが自律神経失調症の発汗の特徴です。

急な発汗が続くようであれば、自律神経失調症が関係していると見てよいかもしれません。

汗が出やすい部位

自律神経失調症の発汗は、「精神性発汗」ともよばれています。

全身に張りめぐらされた汗腺には、いくつかの「系統」があり、精神性発汗を起こしやすい場所もあります。

〈精神性発汗を起こしやすい場所〉

  • 顔(頭)
  • 脇の下
  • 手のひら
  • 足の裏側

自律神経失調症でなくても、何か緊張する場面があったり、突然驚くようなことがあって汗がどっと吹き出るような場合には、これらの部位から発汗することがあります。

上記の部位から頻繁に汗が出るようであれば、自律神経失調症から引き起こされる発汗の可能性が高いといえるでしょう。

汗に対する病院での主な治療法

汗が出る病的な症状を「多汗症」といいますが、自律神経失調症の発汗もこれに含まれることがあります。

一般的に多汗症は「皮膚科」の部類に入り、精神性の汗以外では塩化アルミニウムや、電気療法・ボトックス注射・汗腺の除去手術などが行われます。

しかし、これらは自律神経失調症の発汗には効果が得られにくいようです。

自律神経失調症の発汗の場合には、精神科や心療内科での治療の方が適切だといえるでしょう。

精神科や心療内科では、汗そのものに対処するのではなく、自律神経失調症の原因の多くを占める「ストレス」「睡眠障害」などに対して改善を試みます。

現在、多くの精神科や心療内科では「薬物治療」が中心で、向精神病薬・抗不安薬・睡眠導入剤といった精神病薬を処方するのが一般的です。

ただ、こういった薬に一度手を出してしまったがために副作用や依存に苦しむことも珍しくありません。症状の程度にもよりますが、薬だけで改善しようとすることには大きなリスクがあることも忘れないようにしたいところです。

自分でできる【汗】のセルフケア

自律神経失調症は、毎日の生活習慣を変えたり、ストレス解消などの「セルフケア」を行うことでも改善することができます。

ぜひ、次のようなセルフケアを試してみてください。

運動による自律神経トレーニング

自律神経は、筋肉の動きとも連動しています。

運動は体を活発に動かすので、「運動=交感神経優位な状態の維持」と考えられがちですが、実はそうではありません。運動中は交感神経と副交感神経を目まぐるしくスイッチすることで「運動」という行為を実現します。

自律神経失調症は、交感神経に傾いたまま”固着した状態”ですので、運動による強制的な自律神経の切り替えが、自律神経のトレーニングとして有効なのです。

ただし、負荷の大きな筋トレなどでは、交感神経にバランスが偏りがちになるので、「有酸素運動」のような低負荷の運動がおすすめです。

漢方系サプリメントで自律神経を整える

西洋医学でストレスや自律神経の乱れに対して本格的に治療を試みるようになったのはつい最近のことですが、東洋医学(漢方医)では、古くから精神疾患に対して改善方法が確立されています。

その中で、医療知識がない一般の方でも取り入れやすいのが「高麗人参」「田七人参」といった漢方素材です。

これらの伝統生薬に含まれる「サポニン(ジンセノシド)」には、自律神経を調整し、精神の興奮を鎮静化させる効果が期待できます。

最近では誰でも手軽に飲むことのできるサプリメントが売られていますので、1袋持っておくと便利です。

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とっさの汗には首筋に濡れたタオルが効果的

交感神経の高まりによってとっさの汗が出るときには、「首筋に濡れたタオル」を当てるとおさまりやすくなります。

首筋には頸動脈や太い静脈などの主要な血管が通っていて、しかも皮膚が薄く筋肉も少ないため、外からの冷却で血管内の血液が冷やされます。

冷えた血液が循環することで全身の体温が低下し、発汗が抑制されるのです。また、冷たく心地よい濡れタオルは、気分的にリフレッシュし、気分の高まりを抑える効果もあります。

とっさの発汗をおそれて外出を控えているような女性なら、こういった応急処置の方法を知っておくことで、生活の不便さを解消することにもつながるでしょう。

 

自律神経失調症の発汗は、時と場所を選ばず起こります。とくに女性の場合は発汗の症状によって精神的に追い詰められることで、外出するのをためらったり行動範囲をせばめてしまう原因にもなります。

発汗は初期症状として現れやすく、何も対処せず放置してしまうと自律神経失調症自体が悪化するおそれもありますので、できるだけ早い対処をすることをおすすめします。

〈まとめ〉

  • 自律神経失調症の汗は交感神経が優位になりすぎることが原因
  • 「急激な発汗」「のぼせ」「ほてり」が汗の特徴
  • 顔、手のひら、脇、足の裏側に汗が出やすい(精神性発汗)
  • 自律神経失調症の発汗の治療は精神科での薬物療法になる
  • 運動が自律神経失調症のトレーニングになる
  • 漢方系サプリメントが自律神経失調症の発汗に効果的
  • とっさの汗には濡れタオルが効果的


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