頭の回転や判断力が落ちる~具体的症状と原因~
自律神経失調症になると、「頭の回転が悪くなった気がする」「判断力が落ちた」と感じることがあります。
「自律神経」と「思考能力」は一見すると関係がないように感じますが、「脳のしくみ」をヒモ解いていくと、この現象の理由が浮かんできます。
まずは、自律神経失調症による頭の回転や判断力低下の具体的な症状から見てみましょう。
自律神経失調症による頭の回転・判断力低下の具体的な症状
自律神経失調症になると、イライラしたり、常に追い立てられて焦燥感を感じることがあります。
こういった「心の不安定さ」が頭の回転や判断力を低下させる理由です。
- 意味もなく焦り、いつもしていることができない
- 買い物に出かける前まで覚えていたのに、店に着いたら思い出せない
- 会話中に何を話しているのか分からなくなる
- 本や新聞を読んでも内容が頭に入らない
- 作業に集中できない
- 計算をするのがめんどくさくなる
無意識にでもできることができなくなったり、作業に集中することができないのは、交感神経が働きすぎて脳に「緊急事態」の信号を送っているからだと言えます。
誰しもバタバタと忙しいときには、焦燥感に支配されて冷静な判断もできなくなるものです。
自律神経失調症が脳の動きに与える影響
「脳」はいくつかにブロック分けされてそれぞれの役割を果たします。
人間の知性(冷静な判断)をつかさどるのは、大脳皮質の中の「前頭葉(ぜんとうよう)」という部分で、これは額の辺りにあります。大脳皮質は地球上の動物の中で人間が最も発達しており「もっとも高度な脳」といわれています。
そして欲望や快感は「腹側被蓋野(ふくそくひがいや)」という部分で受け持ち、危険や恐怖を感じるのは「扁桃体(へんとうたい)」という場所です。
これらの脳の連合体は、「ある部分が活発に動く時には、他の部分のパフォーマンスが低下する」という性質があります。
恋愛やギャンブルなどをすると”快感”を腹側被蓋野で強く感じますので、前頭葉の「知性」が鈍化するということです。
恋愛やギャンブルをしているときに冷静な判断ができなくなるのは、実生活で体験した人もきっと多いと思います。「恋は盲目」言葉も、脳機能の特徴を表しています。
自律神経失調症に陥ると、交感神経の強い刺激によって扁桃体が活性化します。
危険や恐怖によって扁桃体が活発になることで、「記憶や判断」「的確な解析」などを行う”前頭葉”の動きが悪くなるので、「頭の回転」も「判断力」も低下してしまうのです。
自律神経失調症による「睡眠不足」も影響
人が睡眠をとるとき、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」というリズムを繰り返しています。レム睡眠時には、体の動きは休止し、脳は活発に作業をしています。
睡眠中に脳がしている作業とは「記憶の整理」と「反復練習」、そして「問題解決」です。日中に見聞きした「記憶」の中から、大切なもの・そうでないものを取捨選択し、記憶倉庫である「海馬」へと保管するのです。
そして、自分が修得すべきことを「イメージトレーニング」で睡眠中に何度も繰り返えしてマスターしようともします。また、活動中に遭遇した「解決しなかった問題」や「トラブル」などの打開策まで睡眠中に脳は考えます。
これらの睡眠中の脳の働きが円滑に行えると、朝目覚めた時にスッキリと晴れやかなな気分になり、前日までできなかったことが突然できるようになることもあるのです。
こういった睡眠中の脳の活動を行うには、質の高い睡眠が必要です。
➡質の高い睡眠をとって免疫力を高めることが自律神経失調症の改善につながる
しかし、自律神経失調症になると、睡眠中に副交感神経に切り替わらずに眠りが浅くなりますので、睡眠中に行われるリフレッシュやトレーニングができなくなってしまいます。
すると、脳の中はごちゃごちゃと整理できていない状態で、記憶力や集中力なども低下してしまうのです。
睡眠の質を高めるためには、体を効率的に休める栄養素を豊富に含んだ休息サプリメントが役立ちます。以下の記事でくわしくご紹介していますので参考にしてみてください。
自律神経失調症が原因で、頭の回転や判断力が落ちる原因は以上のようになります。
人の脳のしくみと構造から自律神経失調症を見てみると、どれだけ人間の活動能力全体を低下させてしまうかが分かるはずです。
【この記事のまとめ】
- 自律神経失調症になると心の「不安定さ」が思考能力を低下させる
- 自律神経失調症になると原始脳が優位となり知性をつかさどる前頭葉が止まってしまう
- 自律神経失調症になると睡眠の質が低下して脳がリフレッシュされずパフォーマンスが低下する