自律神経失調症になると不安や緊張を感じやすくなる│具体的な症状や原因、対処法、改善法

「自律神経失調症」は、人の「心」にも「肉体」にも大きな影響を及ぼす神経疾患です。

不安感に四六時中襲われるようになり、全身の筋肉や臓器も緊張して適切な働きをしなくなるという特徴があります。

『人目が気になる』『電車に乗るのが怖くなる』などの辛い症状

自律神経失調症の症状として多いのが「不安」や「緊張」を感じやすくなるというものです。

そのため、「人の目が気になる」「電車に乗るのが怖くなる」などという症状に苦しむ人もいます。

これを精神医学的には「不安障害」「不安神経症」などといいますが、これにも自律神経が深く関係しています。

たとえば、

  • 「周囲に人がいると自分のことを見ているんではないかと気になる」
  • 「他人の前で何かをしようとすると失敗するのではないかと思い、極度に緊張する・あがる」
  • 「電車に乗ると他人の目が気になる」
  • 「電車に乗ると閉塞感を感じて息苦しくなることがある」

こういった症状は、他人の視線を気にし過ぎるあまりに起きる不安障害で、「他視線恐怖症」ともいわれる精神疾患の一つに分類されています。

ここからさらに症状が進行すると、突然「死ぬのではないか?」といった恐怖感に襲われて取り乱す、「パニック障害」を発症することもあります。

ですから「視線が気になる」といった”気持ちの問題”と思えるような症状であっても軽視することはできません。

不安障害・他視線恐怖症の考えられる原因

自律神経は「自律」という名のとおり、人が意識をしなくても「適度に切り替わり」、生命活動に最良な動きをしています。

しかし、ひとたび自律神経失調症になると、片方にスイッチが入ったまま膠着してしまい、切り替わりにくくなってしまうのです。

現代人がかかる自律神経失調症のほとんどは、「交感神経に切り替わったまま動かなくなるタイプ」です。

交感神経が優位の状態が続き、全身が緊張・硬直することによって、肉体に感情にもさまざまな病的症状を引き起こすのです。

交感神経に切り替わったまま動かないと次のような特徴が現れます。

  • 全身が緊張する
  • 血圧と血糖値が上がる
  • 発汗する
  • 心に余裕がなくなり神経質になる
  • 冷静さを失う
  • 神経が鋭敏になり細かいことがやたらと気になってしまう
  • 怒りっぽくなる

人の目がやたらと気になったり、電車に乗って多くの人に囲まれてしまうと恐怖を感じるのも、交感神経が過剰に働き、副交感神経に全く切り替わらないことが原因なのです。

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不安や緊張を感じたら3つの方法で対処する

まずは電車の中や人前で、必要のない不安や緊張を感じてしまったら、その場で取り除かなければなりません。

そういったストレスは、蓄積し続けてトラウマの原因にもなり、パニック障害やうつ病などのさらに重い精神疾患に進行することがあるからです。

以下に対処法を3つご紹介します。

①人に相談する(自分だけで抱え込まない)

他視線恐怖症になると、多くの思い込みをしてしまうようです。

「見られているのではないか?」「人前で恥ずかしい失敗をしでかすのではないか?」と常に怯えているのです。

こういった考えを、精神医学では「認知の歪み」といいますが、思い切ってそれを他人に話すことで解決してしまうこともあります。

不安障害の認知の歪みは、日を追うごとに強まっていきます。

「見られているのではないか?」という錯覚も、しだいに「絶対にこっちを見ている」「人混みが嫌いだ」「外に出たくない」といったふうにエスカレートしていきます。

こうして自分だけの世界にハマりこんでしまうと、「恐怖が確固たるもの」となり、価値観に強く刻み込まれてしまいますから、そうなる前に対処が必要なのです。

たとえ他人に相談をしたとしても、「気にし過ぎだよ」「誰も見ていないよ」などと、同感されないこともあるでしょう。しかし、そういった他人の考えを聞くだけでも、ハマりこんだ思考の迷路から抜け出すきっかけにもなるのです。

また人は、「会話」や「コミュニケーション」をすることによってリラックスし”癒やし効果”が得られるといいます。

これを動物に当てはめれば、「舐め合う」「毛づくろいをし合う」などの”トリミング行為”になります。動物も日々のストレスを仲間と分かち合うことでケアしているのです。

他人と会話することによって気分が晴れたり、リラックスする効果も医学で証明されています。

他人に悩みを打ち明ける行為は、副交感神経を優位にし、症状を緩和させることにつながるのです。

②スマホやパソコンにふれる時間を減らす

他視線恐怖症などの不安障害には自律神経が関係し、他人の視線を感じて不安や恐怖が現れるとき、全身は緊張して興奮状態になります。この時には自律神経の交感神経が強く作動していていることは前項でも書きましたね?

自律神経の興奮に拍車をかけてしまうのが「強い光」です。

スマホやパソコンなどの強い光には脳を興奮させる光の成分(ブルーライト)が強く、交感神経を刺激してしまうことが分かっています。

パソコン・スマホのやりすぎは自律神経に悪影響を及ぼす│その理由と対策は…

スマホやパソコンをした後に独特の疲れ方をするのも、交感神経の持続的な興奮によるものです。神経質になり、他人の目がやたらと気になるような人は、スマホやパソコンを控えた方が良いでしょう。

③症状がひどい場合は心療内科や精神科へ

冒頭で書いたとおり、不安障害を放っておくとパニック障害やうつ病などに進行することがあります。

最近では「引きこもり」や「ニート」などが問題となっていますが、不安障害が原因で家から出られなくなるケースもあるのです。

精神系の疾患は重症化すると治すのが難しく、また非常に長い時間を必要としますから、早期の対処をしなくてはなりません。

  • あがり症
  • 多汗症
  • 他人の視線が気になる
  • 電車に乗ると不安になる
  • 多くの人がいると強い閉塞感を感じる
  • 外出することが怖い

 

これらは、一般的に「病気」だとは思われていませんでした。

しかし、現在では「全般性不安障害」「社会不安障害」などの病名があり、精神科や心療内科などで相談を受けつけています。重症化して会社や学校に行けなくなったり、引きこもってしまう前に、専門医に相談をすることが大切です。

症状の改善に向けた行動3つを知る

他視線恐怖症などの不安障害は、他の病気に進行しやすい傾向にあります。

これらの症状の応急処置を前項で解説しましたが、今後に向けて改善していく必要があります。

症状の改善には以下に挙げる3つの方法を日々の生活にとり入れると良いでしょう。

①セロトニン不足を補う

人が不安や恐怖を感じると、脳内ホルモンである「セロトニン」という物質が分泌されて鎮静化させます。

このセロトニンは、自律神経に直接働きかけて過度に優位になった交感神経を鎮める作用もあるのです。

これまで不安障害やうつ病などは、「心の原因」ばかりに注意が向けられていましたが、最近のセロトニンの研究によって、肉体的な要因も精神疾患に影響していることが解明されているのです。

他視線恐怖症などの不安障害になっている人は、脳内のセロトニンが不足していることもわかっています。

またさらに重症化した「パニック障害」においては”セロトニン神経の弱体化”が原因だと考えられています。

セロトニンは脳作られて分泌されますが、『量に限り』がある物質です。

脳内で不足させないためには、セロトニンの原料である「トリプトファン」を必要量摂取することや、セロトニンの消費を抑えるために、”鎮静効果の高い栄養素をたくさん摂り入れる”ことも忘れてはなりません。

  • 鉄分・亜鉛・カルシウムなどのミネラル群
  • 耐ストレス効果のあるビタミンC
  • 体力を向上させてストレスに強くなるビタミンB群
  • 抗酸化作用の高いポリフェノール
  • セロトニンに匹敵する鎮静効果があるアミノ酸GABA(ギャバ)

これらはすべて『セロトニン不足を補うことのできる栄養素』です。

上記した栄養素は、あらゆる食品に含まれていますが、正しい知識を得るまでに相当の勉強が必要です。
手っ取り早く摂取するには、サプリメントやドリンク剤などに凝縮したものを通販などで購入することです。

セロトニン不足を補い、【不安・憂鬱・緊張・ストレス】を解消!おすすめのサプリメント

また、ストレスや食生活の乱れによって腸内環境が悪化していると、セロトニンを作り出す機能が弱くなります。
乳酸菌を多く摂ることで善玉菌を増やし、腸内環境を整えることでセロトニンの分泌を促すことができます。

腸内環境を整えて精神を安定させる方法│効率よくセロトニンを増やして不調を改善しよう

②睡眠不足をなくす、いつもよりしっかり寝る

理由もなく不安や恐怖を感じやすい人は、睡眠障害になっているケースが少なくありません。

緊張やドキドキ、不安は『睡眠不足』によっても起こる│どうすれば解消できる?

「自分は毎日8時間寝ている」という人でも、安心はできません。

なぜなら、睡眠は「どれだけ寝たか」よりも「質の高い睡眠が取れているか」が大切だからです。

不安障害の興奮や緊張によって、自律神経失調症になっていると質の高い睡眠は望めません。

一見寝ているようでも疲れは取れておらず、また睡眠中に行われる代謝活動が低下し前項で説明した、「セロトニン」の生成も不十分になります。

精神的なストレスがなくても、「夜更かしをする」「決まった時間に眠らない」「睡眠不足が続いている」といった人の中にも自律神経失調症を発症することがあります。

しっかりと寝ることで脳と体はリフレッシュされ、自律神経失調症や不安障害の症状を軽くすることができます。

③凝り固まった体をほぐす

自律神経の交感神経が高まったままだと、全身が緊張・興奮し、セロトニンをどんどん消費していきます。緊張感から全身の筋肉が凝り固まると血流が悪化して、徐々に筋肉が硬化してしまうのです。

凝り固まった筋肉がさらに交感神経を刺激して悪循環を起こしますから、この負の連鎖を断ち切ることが大切です。

方法としては、『柔軟体操』『軽い有酸素運動』がいいでしょう。

全身にポンプ作用で血流を流し、体温を高めることで筋肉はだんだんとほぐされていきます。

また、ウォーキングなどの「同じ動作を繰り返し行う動作」は、脳に心地よい刺激を与えてセロトニンの分泌を高めます

またセロトニンを産生する「セロトニン神経」を強化させる効果も高いのです。

自律神経に効く運動・ストレッチで運動不足を解消する

この記事のまとめ

  • 「人の目が気になる」「電車に乗るのが怖い」などの症状は他視線恐怖症や不安障害とよばれる
  • 「人の目が気になる」「電車に乗るのが怖い」などの症状は自律神経失調症によるもの
  • 他視線恐怖症や不安障害は自律神経失調症やセロトニン不足によって引き起こされる
  • 「他人に相談する」「スマホやパソコンを見る時間減らす」「精神科を受診する」などの方法で対処する
  • 「セロトニンを摂取する」「睡眠不足をなくす」「体をほぐす」習慣をつけて体質改善すると効果的


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