過呼吸やパニック症状が出るケース│原因や具体的な症状は?
「過呼吸」や「パニック障害」と呼ばれる、突発的な心身症があります。
突然息苦しくなったり、倒れそうになったり、また「死ぬのではないか?」というような不安感に襲われてどうしようもなくなりますが、検査をしてもこれといった病気が見つからないことが多いようです。
こういった”得体の知れない症状”は、レントゲンなどで原因が分かる病気とは違って、不安を抱えたまま生活しなくてはなりません。
また、治療方針の判断が難しく、完治するまでにある程度長い時間が必要なことも、この症状の厄介なところです。
過呼吸やパニック障害には「自律神経」が関係しているため、「自律神経失調症」が原因になっているケースもあるようです。
この記事の目次
『過呼吸症候群』の具体的な症状と原因
「過呼吸」は肉体的、精神的、両方の原因から引き起こされます。
肉体的な原因としては、過度の運動の後などに起こりやすく、その環境に嫌悪感や圧迫感、感情の高ぶりなどで呼吸が荒くなることでも発症します。
過呼吸症候群は、酸素を吸い過ぎたことによって、血中の二酸化炭素濃度が低下したことにより引き起こされるものです。
このとき、血中の「酸性・アルカリ性」のバランスが崩れることで、しびれやけいれんを起こすこともあります。
過呼吸自体は”誰にでも起こりえる”突発性の症状なのですが、これが”慢性化”すると「過呼吸症候群」といわれる精神疾患になります。
【過呼吸症候群の症状】
- 息苦しくなる
- 呼吸が浅く、速くなる。
- 胸に重さや圧迫感を感じる
- めまい
- 手足のしびれ
- 動悸
- 意識が薄くなる
過呼吸症候群となる人の多くが「自律神経」のバランスに問題があります。
通常であれば、自律神経は『交感神経』と『副交感神経』がバランスよく作動しています。しかし過度なストレスが加わることで、このバランスが崩れ、交感神経だけが働きやすくなってしまうのです。
交感神経は『緊張』や『不安』を感じたときに働く神経ですので、この状態が続くと様々な精神症状が出てくるのは当然のことだと言えます。
まして、自律神経失調患者は日々緊張や不安を健常者よりも多く抱えていますので、少しの体の変化でも大きく動揺してしまいがちです。ちょっとした息苦しさのようなものが過呼吸に繋がってしまうことも少なくありません。
また、後述する「パニック障害」と同じく、「発作に対する恐怖が発作を呼び込む」といった特徴も過呼吸症候群にはあります。
あまりに症状に集中しすぎていると、それだけ発作も起こりやすくなります。
過呼吸症候群は「10代」の若年層にも多い症例です。これは、まだ10代の体の自律神経が完成していないことから過呼吸が起きやすいと言われています。
このことから考えても、自律神経と過呼吸がいかに深いつながりがあるかお分かりいただけるかと思います。
『パニック症候群』の具体的な症状と原因
「パニック障害」もまた、過呼吸症候群と似た性質のある心身症です。
なんらかの悪い状況が重なり、感情のコントロールができなくなって取り乱してしまうことは誰にでもあることです。
しかし、これが記憶に深く刻まれ、「また、あの発作が起きるのではないか?」と恐怖をもつことで習慣化し、それがパニック障害につながっていきます。
パニック障害もまた「自律神経」と深く関わる疾患です。
過呼吸症候群が自律神経と心理的なことによって発症するのに対し、パニック障害は「脳機能に障害が起きる」ことが原因だといわれています。
この2つは併発しやすい特徴を持っており、「自律神経失調症」「過呼吸症候群」「パニック障害」の3つは相互関係にあるともいえます。
【パニック障害の症状】
- 「死んでしまうのではないか?」という恐怖感
- 「またパニックになるのではないか?」という予期不安
- 公共の逃げ場がないところや助けてもらえない場所を怖れる(広場恐怖)
- 心拍数の異常な上昇
- 息切れ
- めまい
- 現実感の喪失
パニック障害は自律神経失調症患者が併発しやすく、「精神疾患」として片付けられがちですが、神経伝達物質である「セロトニン」の不足が直接的な原因とされています。
➡自律神経失調症からパニック障害は併発する?~症状や原因、予防法~
これは脳内にセロトニンを充たす抗うつ薬「SSRI」がパニック障害にも有効なことが証明しています。
セロトニンは、ストレス・カフェイン・ニコチン・アルコールなどの興奮刺激が続くことでどんどん消費され、脳の情動をつかさどる部位のコントロールができなくなります。
セロトニンは食事やサプリメントで増やすことができます。具体的な方法は以下の記事を参考にしてみてください。
➡自律神経失調症の治療に欠かせない『セロトニン』│増えるメリット・減るデメリット・増やし方など
おわりに
自律神経失調症・パニック障害・過呼吸症候群は境界線があいまいで、お互いに連動しておきる心身症だといえます。
単に心理面だけをケアしても治療は難しく、肉体面と精神面の両方から改善を考える必要があります。
【この記事のまとめ】
- 過呼吸は呼吸をし過ぎて血中の二酸化炭素濃度が低下して起きる
- 過呼吸になったことに恐怖心をもつことで「過呼吸症候群」になる
- 最初に起きたパニック発作に恐怖心をもつことでパニック障害に進行する
- パニック障害は脳の神経伝達物質の異常によって起きる
- 過呼吸症候群・パニック症候群ともに「自律神経失調症」と関係がある。