自律神経失調症になりやすい人となりにくい人の特徴│予防する考え方は?

天秤現在患者数が急増している自律神経失調症ですが、当然のことながら全ての人が簡単に発症するわけではありません。

同じ生活環境、状況下においても発症しやすい人とそうでない人がいます

このページでは、『自律神経失調症になりやすい人となりにくい人の特徴』や、『予防する考え方』をまとめてみたいと思います。

もちろん、あくまでそういった傾向があるというだけですので、次に挙げることが全て当てはまる場合でも、必ずしも自律神経失調症にかかるというわけではありません。少し長いですが参考にしてみてください。

【気が弱い・強いは関係がない】

この手の疾患は、以前まで「気の弱い人がなる病気」という概念がありました。

これも100%間違いというわけではありませんが、実際は気持ちの強い人も同じく患う場合もあり、一概に言えないことが分かっています。

では具体的にどういった人が発症しやすいのでしょうか?

自律神経失調症になりやすい人の傾向

1)怒りやすい人

2)落ち込みやすい人

3)気持ちの切り替えが苦手な人

大別するとこの3つが挙げられます。

【怒りやすい性格の人】

神経質怒りやすい人というのは言い替えると「怒る材料を多く持つ人」です。

完全主義や承認欲求が強い、プライドが高い、几帳面・・・

自分の思い通りにならずに怒りがふつふつと湧き上がると、交感神経が活性化され体は緊張状態になります。

それはその人の性質とも言えますので、24時間そういった状態が繰り返されてしまうのです。

このタイプの人は普通の人よりも多くのストレスを自ら作り出してしまうため、自律神経失調症になってしまうリスクが高いと言えます。

ストレスが多い方は、精神の安定に深く関わりのある『セロトニン』という脳内物質が不足しがちになり、不安や憂鬱、イライラなどを感じやすい体質になってしまいます。

こういった方は、セロトニンの元になる栄養素をしっかり摂取しておくことが大切です。セロトニンについては以下の記事を参考にしてみてください。

セロトニン対策に!リラクミンクリアの特徴や強み、口コミを解説

【落ち込みやすい性格の人】

これも怒りやすい人と同じで、完全主義、承認欲求が強いなど、自意識が強すぎる人に多いのですが、ストレスを感じるような事柄が起きた時に感情の現われ方が「怒り」ではなく「悲しみ、恐怖、不安」となって心を支配するのです。

自律神経失調症が緊張時に強く作動することはよく知られています。

古来人間が自然の中で生活していた時に、敵と遭遇してしまった時「逃げるか闘うか」を瞬時に判断して速やかに行動することが必要でした。

この引き金となる情動が”怒り”と”恐怖”です。

怒りや恐怖、不安は自律神経を交感神経に入れるスイッチですが、これは生活の中で感じるストレスに対しても反応してしまいます。

実際に闘えば勝敗はどうであれ結果が出るわけですが、勝利したならしばらく気持ちが高揚した後にリラックスモードに入りますし、逃走した場合でも逃げ延びれたならホッと安心し、副交感神経が活性化されて緊張はほぐれていきます。

しかし、自らの心の中で創りだした怒りや不安、恐怖などに終わりは無く、考え方、価値観を改めるまで延々とその状態が続いてしまい、その緊張からくる疲労が蓄積され神経を痛めてしまいます。

これらの症状を緩和するためには、やはり『セロトニンを活性化させる』ことが大切になります。

自律神経失調症の治療に欠かせない『セロトニン』│増えるメリット・減るデメリット・増やし方など

また、考え方や価値観を変えるには、『書籍を読むこと』や、『違う考え方の人と積極的に関わる』などが挙げられます。

【切り替えがうまくできない人】

ハツラツ

人は緊張と緩和を繰り返して生活をします。

ストレスが自律神経失調症の原因だからといってストレスのまったくない生活でも人は健康な心と体を維持することはできません。

緊張と緩和、活動と休息を適度に行うことが心身を正常に保つ秘訣です。

本当に肉体的に疲れている時は体を休めないといけませんが、すべてのストレスを避けていると逆効果になることも少なくありませんので、うまく気持ちを切り替えていくことが大切です。

次のような例を経験した方も多いでしょう。

〈例〉『切り替え下手なAさん』と『切り替え上手のBさん』の場合

Aさんは、職場の人間関係や仕事上の悩みを抱えていて、あまり会社に行きたくありません。
日曜日がやってきて心身の疲労感を感じていたため、体を休めようと一日中横になってダラダラとした時間を過ごしました。
そして月曜日がやってきましたが、余計に体が重く、やはり会社に向かうのが嫌で仕方がありませんでした。

一方Bさんは、休日に疲れは感じていましたが、大好きな趣味であるアウトドアを一日かけて満喫しました。
普段以上に体力を使ったため、次の日には山歩きのために筋肉痛になり、肉体的な疲れを感じました。
しかし、月曜日出勤する時には、どこか心が晴れやかでリフレッシュされており、「よし、今週も頑張っていくか!」という気持ちになりました。

この2人の差は「気持ちの切り替え」にあります。

一日家にいてゆっくり過ごしたつもりでも、思考と心のどこかに会社のことが浮かんでは消える、ということが繰り返されていることがあります。

またそういったことが心に表れる「余裕」があるとも捉えることもできます。

後者の方は好きなことをしている、というだけですっかり会社のことなど忘れて楽しんでいる状態で、さらに車の運転、山歩き、調理の準備、火を起こし、調理をするなどの作業で夢中になり集中している状態が続いています。

こういった趣味や習慣を持たない人は、休みの日であっても、精神的には常に会社で仕事しているような状態が続き、疲労が蓄積するのも無理はありません。

自律神経失調症を予防する考え方とは?

自分らしさを大切にする~言いたいことを言ってストレス対策~

真面目

几帳面でまじめ、人から頼まれごとをされると断れない、他人の評価を気にする、承認欲求が強い、人格者、努力家、完全主義などの性格の方は、社会では好評価を受けるタイプの人が多いと思います。

しかし、普段の何気ない生活でも頑張り過ぎたり、失敗しないように強い緊張感をもって生活しているがために、自分自身でストレスを作り上げて何かの拍子に爆発してしまうケースも少なくありません。

自分らしさを大切にする

ハツラツ

自ら設定したハードルと規律にがんじがらめになることで、気を休める時間もつくれず、職場や家庭で見せる顔と本来の自分とのギャップが大きすぎることは決して良い状態ではありません。

人は四六時中緊張状態を続けることは不可能です。しかし無理やりそれを続けてしまうと、必ずと言ってよいほど反動がやってきます。

本音を押し殺してまで努力を続けると、逃げ道を塞ぐことでがんじがらめになり、より強い緊張感を生み出す結果となってしまいます。

言いたいことを言う大切さ

幼い頃に両親(特に母親)から充分な愛情を感じることができなかった人は「承認欲求」が強まる傾向にあります。
元来母親の愛情とは「無償のもの」であり、子供はそれを感じ取ることが理想です。

しかし愛情を感じられなかった子供は、自分の行動によって親や周囲の大人を振り向かせようと努力します。

そしてそのまま成長すると「努力をしないと見てくれない」「がっかりさせたくない」「認められたい」という願望がしだいに強くなっていきます。

周囲の人の顔色をうかがい、言葉や振る舞いを選び、やせ我慢をして良い人間として認められようとした結果、神経をすり減してしまうといった悪循環は避けたいところです。

「社会不安障害」の上がり症や多汗症などはまさしくその典型であり、周囲の人がそれほど大したこととも思わないような、人前で話す行為などに異常なほどの緊張感を感じてしまいます。

こういった人は他人からの頼まれごとを断れないことが多く、手に余るほどの仕事を抱え込んでしまい窮地をつくってしまいます。

「怖い」「恥ずかしい」「不安だ」「疲れた」「もう嫌だ」「これは嫌いだ」など、人が誰しもが持つ本音や感情を押し殺した状態で、周囲からの評価を得ようとする行為には危険が潜んでいます。

弱音を吐くことや愚痴を言うこと、本音を吐き出すことを「恥」として受けとめられた風習は今でも残っています。

現在の日本のアスリートの活躍は目覚ましいですが、昔の日本選手は世界の舞台ではなかなか勝つことができない時代があったそうです。

「日の丸を背負う」という言葉が頻繁に使われ、それが日本スポーツと国民性を象徴していますが、あまりに多くの期待と責任感を背負い過ぎ、本番で実力を発揮できなかったことが活躍できない原因だった・・との見解が専門家の間でも言われています。

東京五輪の銅メダリスト円谷幸吉さんは日本陸上の金字塔を打ち立てましたが、周囲の期待とその責任を果たそうとした、1人のアスリートの悲劇だと言えます。

誰も疑うことのない人格者であった円谷さんは、自分の命を絶つという最悪の幕引きを選択しましたが、感謝と詫びの言葉でつづられた遺書の一部に「もう辛くて走ることができません」という言葉を、生前に言うことができれば防ぐことができた悲劇かもしれません。

完璧主義を捨て、マイペースを保つ

自律神経失調症はさまざまな要因で引き起こされますが、特に大きな影響を受けるのが『精神的なストレス』です。

同じような生活パターン、食生活、仕事をしていても「物事の捉え方」だけでもストレスの受け方は変わってきます。

それは「心の中」だけの問題にとどまらず、自律神経という生命活動全般に関わる重要な器官にも影響を与えます。

精神的ストレスを受ける理由

仮に二人の会社員がいるとします。

仕事で同じようなミスをしてしまい、当然のことながら二人の心は大きく動揺するでしょう。

一人は

「次はミスしないように気を取り直して頑張ろう!」

と考え、そしてもう一人は

「もうダメだ、恥ずかしい。次また同じミスをしたらどうしよう・・」

と深く落ち込み、次に同じ作業をすることを恐れるようになったとします。

これだけで二人の自律神経の動きは真逆の反応をしてしまうのです。

前者は一瞬ショックを受けたものの、未来に向けて「がんばろう」という意識に変わることで精神のバランスを保っています。

しかし後者は、「恥をかいた」と何度も繰り返し思い、さらには仕事そのものに「恐怖」や「不安」を持つようになりました。

こうなると緊張感を長く持ち続ることになりますので、自律神経に大きなストレスを与える結果となってしまうのです。

真面目さがアダとなる

精神的に恐怖や不安を持ち続けると交感神経が優位な状態となり、スイッチのON/OFFがうまく切り替わらなくなります。

非常に精密なタイミングでこのスイッチを切り替えて人体は動いていますので、次第に健康に害が出始め「自律神経失調症」となるのです。

素早く気持ちを切り替えた人は「楽天家」とも言えますし、深く落ち込んでしまった人は「真面目な人」とも言えるでしょう。

実は、ここに自律神経失調症の怖さがあるのです。

自律神経失調症になりやすい体質とは?でも書いているとおり、生真面目で仕事を真剣にこなそうとする人ほど症状が出やすいのがこの疾患の特徴です。

しかし自律神経失調症が原因でうつ病になったり、内臓器官に不具合を生じてしまい、仕事自体を続けられなくなれば、まさに本末転倒な結果が待ち受けていると言えます。

完全主義は危険で脆い(もろい)

人には「他者から認められたい」「人より優れていたい」などの心の欲求があります。

これにより向上心を持って努力もするのですが、それがエスカレートして『完全主義』になり、自分の決めたルールや目標、またはプライドでがんじがらめになると、ストレスに弱くなってしまいます。

冒頭の例のように、他の人なら大した事件では無いことでも強いショックを受けてポキンと折れてしまうようになるのです。

いくら立派なポリシーを持ち、生真面目に職務をこなす性格であっても、途中で投げ出さなくてはいけないような状況になるのなら、その人は残念なことに「メンタルの弱い人」となってしまいます。

完全主義の人は、それまで周囲に期待されるほどに仕事ができる人だったのに、たった一度の失敗で会社を退職してしまうようなこともあるのです。

この時本人は周囲が思う以上に精神的ダメージを受けており、その影響はきっと肉体的にも表れていることでしょう。

胃痛、腹痛、不眠、頭痛、倦怠感など、自律神経のバランスが崩れた時に表れる症状は数えきれません。

【おわりに】

完全主義は自分の性質、個性ですので、なかなかそれを変えることは難しいものです。

しかしそれにより仕事や生活のパフォーマンスが落ちてしまったり、最悪の場合仕事ができなくなるほどのダメージを心身に受け、重い疾患を引き起こしてしまっては頑張った意味も失くなってしまいます。

周囲の期待に応えようとし過ぎたり、他人よりも抜きん出て成功を収めようとすることも大切なことですが、自分の体と心をもう一度振り返って観察し、無理をし過ぎていないか?と問いただしてみることも大切です。

体にも精神にも「休息」が必要です。

その度合は個々で違いますので自分のペースをつかむことが重要になります。

完全主義な性格の方は少し楽天的になり、マイペースで生活することで、自律神経の損傷を防ぎ、本来の実力が発揮できるようになるはずです。

 

『自律神経失調症』は勤勉な性質の日本人が発症しやすい疾患だとも言えます。

時には心身ともにリラックスできる習慣や、環境を意識して作ることが大切です。

また、自律神経失調症の治療に欠かせない『セロトニン』を積極的に増やす(活性化させる)ことも非常に効果的です。

ぜひ試してみてください。

 



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