自律神経失調症になるとコミュニケーションが苦手になる?対人関係を避けるとコミュ障が悪化する理由とは
自律神経失調症になると、様々な症状が出ることによって他人と接することが億劫になったり、ストレスを感じてしまうことがあります。
そこからさらに悪化してしまうと「コミュ障(コミュニケーション障害)」になり、ひきこもりなどの原因になることも少なくありません。
こうした事態を避けるためには、できるだけ早い対処をし、対人関係と自律神経失調症の改善に向けた行動をとることが大切です。
ここでは、自律神経失調症とコミュ障について詳しく解説してみました。
この記事の目次
自律神経失調症が原因でコミュニケーションが苦手になることもある
自律神経失調症が原因でコミュ障に陥りやすくなるのは、「自律神経の状態と感情」の仕組みが深く関係しています。
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」に分かれていて、交感神経は緊急事態など”身の危険を感じたとき”に強く作動する性質があります。
緊急時には、目の前の事態に対して速やかな対応を取らなければいけないために、心身は緊張感を持ち、非常に敏感になるのです。
この心と体のシステムが、コミュ障を引き起こしやすくする原因です。
自律神経失調症になると、不適切に交感神経が高まり、緊張状態が続く性質があります。
本来ならば害のない職場の人や友人などに「敵視」するような感情がうまれてしまうのもそのためです。
人の文明がまだ発達しておらず、人間を襲う野生動物から身を守らなければならなかった太古の時代に、この防御システムは完成されたと考えられています。
このシステムが現代までもまだ引き継がれているのです。
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対人関係に影響を及ぼしやすい自律神経失調症の症状とは
人は、無意識のうちに相手の心を読んでさまざまな配慮をしながらコミュニケーションを取っているものです。
しかし、自律神経失調症になってしまうと、心の余裕がなくなり極端に主観的なふるまいをしてしまうことがあります。
こうなると、こちらが相手を苦手と思うだけではなく、対人関係自体に亀裂が生じてしまいます。
次のような症状が出ているのを自分で発見したら危険信号だと考えましょう。
- 常にイライラしている
- 漠然とした不安を感じている
- 意味もなく心配になったり恐怖感を感じることがある
- 昔の悪い思い出ばかりを思い出して悲観的になる
- 大きな物音に敏感になる
- 小さなことが気にかかり引きずってしまう
これらはすべて自律神経失調症になり、”交感神経”が高ぶっているときに起きる症状です。
一人になったときに自分の精神状態をチェックしてみましょう。
知らず知らずに他人にから見て不愉快な行動をとっている危険性があります。
⇒神経質で敏感な性格は仕事ストレスを抱えやすい。改善するためにできること
対人関係を避け続けるとコミュ障やひきこもりになりやすい
他人と接することにストレスや疲労感を感じるようになると、対人関係を避けるようになりがちです。
自律神経失調症のタイプや段階によっては、「一人でいるときが一番楽」といった状態になるものです。
しかし、あまりに対人関係を避け続けると、「コミュ障」の悪化につながる可能性があります。
良好な対人関係というのは、「成功体験の蓄積」によって成り立つものです。
- 他人と会話をして気持ちが良かった
- 友人に癒やされた
- 多くの人といるときに幸福感を感じた
といったような”成功体験”が多くある人ほど、「他人とつながりたい」という意識が芽生えるのです。
この反対の状態ばかりの人は、だんだんコミュニケーションが嫌いになってしまうのは当然なことなのかもしれません。
会社や学校にいても誰とも会話せず、家にひきこもりがちになると、成功体験を蓄積していくどころか他人とコミュニケーションをとることが”ハードル”になっていくのです。
また、一度苦手意識を持ってしまい精神状態が悪いときに一人でいると、他人のことを必要以上に悪く感じたり、懐疑心を持ってしまったり、というふうに「被害妄想」を起こす危険性もあるので注意が必要です。
コミュ障やひきこもりを予防するためにできること
このように、コミュニケーションにつらさを感じたとしても、それを避け続けることはよくありません。
自分の安全圏を作り、その中に引き込んでしまうと、さらに自律神経失調症も悪化させることになります。
以下のような対処法を実践し、コミュ障やひきこもりにならないように予防しましょう。
適度な外出と人付き合いを保つ
自律神経失調症は、「交感神経の存在そのもの」が悪いのではありません。
健康な状態では、交感神経と副交感神経の両者が適切に働き、そして”瞬時に切り替わること”によって正常に作動するものです。
これが自律神経失調症になってしまうと、副交感神経が働くべきときに切り替わらず、交感神経が過剰に長い時間作動し続けるようになります。
悩み事やストレスがなくても自律神経失調症になる人は、極端に運動不足であったり、過剰にストレスを避ける行動をとる人が多いといいます。
気分が滅入ったりイライラするからといって、部屋に閉じこもってばかりいると、自律神経の切り替わり能力が低下したり、小さなストレスに弱くなり症状を悪化させることにつながります。
ですから、気分が重いときほど思い切って外出をしたり、楽に会話ができる仲の良い人と付き合いを保つなどすることが得策です。
部屋にひきこもって自分の世界の中だけで生活をしていると、徐々に人そのものが怖くなったり、外出することを嫌悪するようになります。
ひきこもりをこじらせてしまった人は、長いケースでは何十年も外出せず、他人との接触をしないなど、正常な人からは信じられないような状態に陥ることも少なくないのです。
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スポーツやアウトドアなどの趣味を持つ
人の心と体は相関関係にあり、「心はこころだけの問題」ではありません。
体が活動的であれば、精神的にも意欲が湧いてきたり、悩み事に打ち勝とうとする対抗心も生まれます。
こういった強い精神を持つためには、「スポーツ」や「アウトドア」などの趣味を持つことが効果的です。
運動不足からいきなりスポーツすると、最初はかなりしんどいですが、徐々にじっとしていては味わえない達成感や充足感が生まれ、それによってストレスが解消されていきます。
アウトドアは自然の癒し効果によって「活動とリラックス」が同時に得られるので、さらにおすすめです。
また、人が体を動かすときには、交感神経と副交感神経を頻繁に切り替えるので、自律神経失調症のリハビリには運動が最適です。
スポーツや山登りをしている人に、コミュニケーション能力が高い人が多いのは、ストレスに強く自律神経のバランスがうまく取れている状態だからとも言えるでしょう。
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人にはさまざまな個性がありますが、自律神経失調症になって症状が進行していくと、「過敏」「神経質」「ネガティブ」といった性格になりがちです。
自律神経の不具合は人の個性にさえも悪影響を与えてしまう怖い疾患なのです。
自律神経の状態が悪いときほど、いつも以上に体を動かし、活動的になることが大切だということを覚えておきましょう。
〈まとめ〉
- 自律神経失調症になるとコミュ障になりやすくなる
- 対人関係を避け続けると自律神経失調症が悪化してコミュ障になりやすい
- 自律神経失調症の症状そのものが対人関係を悪化させる原因
- 交感神経が高まりすぎるとコミュンニケーションが苦手になりがち
- 「外出」や「他人と関わりを保つこと」がコミュ障や引きこもりの予防になる
- 「スポーツ」や「アウトドア」へのチャレンジが自律神経失調症の改善につながる