自律神経失調症はアルコールで悪化する?お酒との上手な付き合い方とは

アルコールは非常に多面的な性質があり、酒量や飲み方によって毒にも薬にもなる嗜好品です。

自律神経失調症の患者の中には、「アルコール」が習慣化している人が多いという統計があります。

多くの人がアルコールの摂り過ぎによって自律神経失調症になったり、また自律神経失調症患者がアルコールによって症状を悪化させるケースが目立つようです。

ここでは、「自律神経失調症とアルコールの関係」について解説しました。

アルコールに頼る人ほど自律神経失調症になりやすい?

毎日受けるストレスや悩み事、体の疲れをとるなどの心身のダメージを、アルコールに頼って解消しようとする人は自律神経失調症になりやすいといえます。

たしかにアルコールには感覚を麻痺させて疲れを感じさせなくしたり、つらい気持ちを一時的に緩和させる効果があります。

しかし、こういったアルコールの飲み方をすると、多くの場合は摂取量が増えていきます。

その結果として体の機能にさまざまな障害が現れるようになり、それが「自律神経失調症」を引き起こす原因となるのです。

アルコールを飲む人が自律神経失調症になりやすい要因には以下のようなものが考えられます。

  1. 実際の悩み事の解決にならないために長期化する
  2. 翌日アルコールが残って体調が悪くなり、新たなストレスが生まれる
  3. 肝機能が低下することで気力が失われ、ストレスに弱くなる
  4. 生活習慣が乱れる
  5. 熟睡できなくなり心身ともに調子が悪くなる

とくに(4)と(5)は自律神経に直結する要素です。

自律神経を健康に保つためには「規則正しい生活」と「十分な睡眠」が不可欠です。

アルコールを飲むことに伴う不規則な行動の性質や、脳機能への悪影響が自律神経失調症発症の引き金となってしまうのです。

自律神経失調症を改善するうえでアルコールを控えたほうが良い理由

すでに自律神経失調症になってしまっている人もアルコールは控えたほうが良いでしょう。

前項でも書きましたが、健康な自律神経を維持するために欠かせない「睡眠」に障害が現れやすいからです。

よくアルコールを「睡眠薬代わり」だといって寝酒をする人がいますが、この考えには大きな誤解があります。たしかにアルコールをたくさん摂取すると眠たくなりますが、じつは脳中枢そのものは、飲まないときよりも「覚醒」しているのです。

アルコールを飲んで眠ると、本来の睡眠時の脳の状態とはかけ離れた動きをし、脳は目覚め続けています。

また、睡眠時には「胃の中が空の状態」が理想です。

消化活動といった余計な働きを体にさせず、ゆっくりと脳と体を休ませるのが睡眠の目的ですから、食べたものの消化や、アルコールの分解など余計な活動をさせてしまうことで”睡眠の質が低下”してしまうのです。

睡眠の質が低下すると、脳のダメージが修復されず、脳で働く「神経伝達物質」に乱れが生じます。神経伝達物質は自律神経をコントロールする物質ですので、悪影響を受けて自律神経失調症が発症しやすくなるのです。

アルコールの摂取は「よく眠れる」どころか、反対に十分な睡眠を奪い去ってしまうことだということを覚えておきましょう。

アルコールとの上手な付き合い方

自律神経失調症の症状が出ている間は、できる限りアルコールを控えたほうが良いですが、「どうしてもやめられない」という方もいらっしゃるでしょう。

そういった方は、自ら設定したルールを守り、上手に付き合っていきましょう。

たとえば、

  • 夕食前に1杯だけ飲む
  • アルコール度数の高いお酒は避ける
  • 寝酒は絶対にしない

などです。

ただ、一度でもルールを破ってしまうとそれが習慣になってしまう可能性がありますので、固い決意でルールを守る必要があるでしょう。

セロトニンを活性化させることも改善のカギ

自律神経をコントロールする「神経伝達物質」について前項で触れましたが、神経伝達物質には「セロトニン」「ドーパミン」「ノルアドレナリン」といったものがあります。

この中で「セロトニン」は多くの神経伝達物質の”司令塔”の役割を果たす重要なもので、自律神経失調症の改善にも大きな”カギ”となる物質です。

実際に、自律神経失調症や不安障害、心身症、うつ病、パニック障害などの精神系の障害に用いられる抗うつ薬には、「セロトニンを脳内に満たす」といった薬理があります。

反対の見方をすれば「セロトニンが減少すること」で自律神経失調症になりやすいともいえるのです。

セロトニンはストレスや栄養不足によって不足しがちになりますので、「食生活の改善」や「サプリメントの利用」「運動」などで増やす努力が必要です。

これから自律神経失調症をセルフケアで治していきたいのであれば、「セロトニンの活性化」が基本になるということを覚えておきましょう。

最後に、自律神経失調症になり精神的に不安定な状態でアルコールを飲むと、「依存症」という最悪の結果を招きやすいということも知っておくと良いでしょう。

実際に自律神経失調症とアルコール依存症の両方を発症し、精神科で長く治療を続ける人はたくさんいます。

アルコールの怖さを十分に知っておきましょう。

〈まとめ〉

  • アルコールに頼りすぎる人は自律神経失調症になりやすい
  • すでに自律神経失調症になった人はアルコールで悪化しやすい
  • 自律神経失調症を改善させるカギは「セロトニン」にある
  • 自律神経失調症とアルコール依存症は併発しやすい


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