自律神経失調症の悪化を防ぐために身につけたい習慣5選

自律神経失調症は、その他の内蔵の病気とは違って非常に自覚しづらいものです。

不快な症状が広範囲に広がり、いったい何が本当の原因なのかがわからなくなることもあります。

こうしてはっきりした対処法がつかめないまま知らず知らずのうちに悪化しやすいのが、自律神経失調症の特徴です。

自律神経は体の働きの多くに連動しているため、悪化すると日常生活に大きく支障をきたすような症状が現れることも少なくありません。こうした事態を招く前に、しっかり対処しておくことが大切です。

ここでは、自律神経失調症の悪化を防ぐために身につけたい習慣を5つご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

自律神経失調症は放っておくと悪化しやすい

人の体は緻密な「オン」「オフ」のスイッチによって生体活動が行われています。

例えば、呼吸をするときには「オン」で空気を吸い込み「オフ」で吐き出すのです。心臓も筋肉も、その他多くの生体機能が、この法則で動いています。

また、自律神経はもっと大きなリズムも持っています。

朝起きてから活動を始めるとき、自律神経は全体的に「オン・モード」に入り体を目覚めさせます。

反対に夕方が過ぎて眠る時間が近づくと、全体的にリラックスするために「オフ・モード」に入るのです。

このように、人間の体の動きのほとんどすべてに自律神経は関わっていますから、ここがおかしくなると心身のすべてが正常ではなくなるのです。

睡眠の質も下がる

自律神経失調症になったときに最も注意したい要素が「睡眠の質の低下」です。

睡眠は、人間が日中活動しているときに受けたダメージやストレス、疲労などをリカバリー(修復)する機能ですから、質の低下は多くの病気の引き金にもなります。

「自分はちゃんと7時間、8時間眠っている」という人でも安心できません。

睡眠は、ただ目を閉じているだけでは睡眠中に行わる細胞の修復や新陳代謝が十分に行われているとはかぎらないのです。浅い眠りではなく、質の高い睡眠をとれていることが重要になります。

しかし、自律神経失調症になると交感神経(緊張・興奮状態)が常に活発な状態になり、寝つきの悪化や熟睡度の低下を招きやすくなります。こうして体にダメージを蓄積してしまうようになるのです。

自律神経失調症の悪化を防ぐために身につけたい習慣5選

自律神経失調症の悪化は気づかないうちに進行してしまいます。

多くの場合が自然に治ってしまうようなことはないので、自分でできる改善方法を積極的に試していく必要があります。

以下に挙げる5つの方法をぜひ試してみてください。

①自分の思い・悩みを意識して発散する

何かに対するネガティブな思いや悩みは、”持ち続けること”で肥大化していきます。

たとえば、職場などで苦手な上司や同僚に嫌な思いをさせられたり言われたりすると、尾を引いて心の中に生き続けてしまうのです。

それは、日中意識していないとき、または眠っている間でも無意識下で存在し、小さなストレスを生み続けます。

こういった嫌な体験は、一刻も早く「発散」してしまうに限ります。

自分の中だけに留めておくのではなく、誰かに話してスッキリするのも良いですし、自分の思っていることや悩みを紙に書いて心の整理をすることも効果的です。

これと同時に、スポーツなどで体を動かす習慣を持つことが理想的です。ウォーキングや水泳といった軽運動は、セロトニンやエンドルフィンといったリラックス物質を生み出します。これにより気分がスッキリするだけでなく、疲労回復効果も期待できます。

②考える時間を減らす

「何事も考えすぎてしまう」という方は多いかと思います。

考えること自体に問題はありませんが、その時間や頻度があまりに多すぎると、「不安」や「恐怖」が増幅し、結果として憂鬱な気分が強まってしまうことがあります。

ただでさえ自律神経の乱れによって思考がネガティブな方向に傾きやすくなっていますので、考えすぎには注意が必要だといえるでしょう。

これを予防するには、意識して「考える時間を減らす」必要があります。

この、「考えない」という行為は、うつ病を予防するためにも非常に有効な方法として知られています。

意識して考えないようにするだけでも効果はありますが、一度癖づいた思考はなかなか直せるものではありません。

効果的に「考えすぎ」を減らすには、何かに没頭することが良いといわれています。

たとえばスポーツに没頭したり、女性であれば料理や手芸に没頭することも良いでしょう。

何か夢中になれることを見つけることによって、“無駄に考えすぎる”ことがなくなります。

これを機に新しい趣味や習慣を身につけるのも良いかもしれません。

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③糖質の摂取を減らす

自律神経失調症を悪化させるものの中には意外なものもあります。

それは「糖質」です。

とくに精製された白い砂糖は、精神の状態を不安定にしやすいことがわかっています。

最近の研究では、「キレやすい子供」の多くに糖質過多の傾向が見られ、砂糖を使った菓子類や清涼飲料水の存在がその原因だということが解明されているのです。

精白された白い砂糖は、「カルシウム」「亜鉛」といったミネラル分を体外に排出してしまう性質があります。

よくイライラする人が「カルシウム不足」といわれますが、ミネラルには精神を正常に保つための重要な働きをしているので、不足することは危険なのです。

自律神経失調症による精神不安定が見られるならば、砂糖を含む飲食物を多く摂取していないかチェックしてみましょう。

④軽運動をする

前項で説明したように、自律神経失調症は、体の「オン」と「オフ」が利かなくなる病気です。

2つある自律神経の交感神経と副交感神経がうまく切り替わらなくなるのです。

自律神経は、人の意識の外で働く器官ですので、気持ちで「切り替われ」と考えても動いてくれませんが、「運動」をすることで強制的に「オン」「オフ」のスイッチを動かすことができます。

運動は活動を意味しますので、動いている間はずっと交感神経が働いているように思われますが、実はオンとオフが細かく切り替わっています。

この強制的な切り替えが、硬直してしまった自律神経のスイッチを滑らかにしてくれるのです。

自律神経失調症改善のための運動は、ハードなものでなく「軽運動」でかまいません。

散歩をしたり、ゆったりとしたジョギング、またはストレッチやヨガなどでも効果は十分に得られるでしょう。

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⑤デジタル機器に触れる時間を減らす

最近ではスマホやパソコン、ゲーム機などが非常に普及し老若男女問わず利用者が多くなっています。

こういったデジタル機器には自律神経を刺激し、興奮させてしまう作用があります。

デジタル機器から発せられる「ブルーライト」という光線に、脳中枢を興奮させる性質があることがわかっています。

参考➡パソコン・スマホのやりすぎは自律神経に悪影響を及ぼす│その理由と対策は…

また、デジタル機器を操作している間は、集中力が異様に高まり、全身を硬直させる時間が長くなります。これは前述の「運動」とは真逆の状態であり、自律神経の硬直状態を持続させてしまうようなものです。

毎日の時間の中でデジタル機器に触れる時間を少しでも減らすことが、自律神経失調症の悪化防止につながります。

 

ご紹介した方法は、日々の生活の中でのちょっとした工夫ばかりですが、地道に続けることで自律神経失調症の悪化を防ぐことができると考えられます。

自律神経失調症は、うつ病やパニック障害だけではなく、多くの肉体的な病気の原因にもなってしまうような症状ですので、できるだけ早めの改善を心がけたいものです。

〈この記事のまとめ〉

  • 自律神経失調症は放っておくと悪化しやすい
  • 「思い」や「悩み」をその場で発散することで悪化を防ぐことができる
  • 考える時間を減らすことで精神的な負担を減らすことができる
  • 糖質の摂取を控えることで悪化を防ぐことができる
  • 軽運動を取り入れることで悪化を防ぎ改善することもできる
  • デジタル機器に触れる時間を減らすことで悪化を防ぐことができる


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