対人関係が苦痛に感じるのは危険サイン?原因と対処法
「人付き合いが苦手になった」「人と一緒にいることが苦痛で仕方ない」
このようなことはありませんか?
対人関係が苦手になると、社会生活に大きな悪影響が起こり、出社拒否や引きこもりなどに進行してしまうことも少なくありません。
現在では精神的な不調から対人恐怖症となり、社会からドロップアウトしてしまう人が急増して問題となっています。
少しでも「いつもと違う自分」に気づいたら、できるだけ早い段階で何らかの対処をすることをおすすめします。
この記事の目次
対人関係が苦痛になる原因
精神的な不調が引き金となって、「対人関係」に問題が生じることがあります。
それには以下のような3つの理由が考えられます。
自律神経の乱れによる症状(過敏、不安、緊張など)
自律神経失調症の多くは「交感神経」が過剰に活性化し、リラックス状態である副交感神経に切り替わりにくくなります。
交感神経は人を「活動状態」にする自律神経なのですが、不適切に強まりすぎると「過敏」「不安」「緊張」といった状態を作り出すことになります。
このレベルまで交感神経が高まると、事故や災害などの危険に遭遇した場合と同じような状態に陥り、全身のセンサーを敏感にさせて、強い”危機意識”が生まれます。
これは、人間がまだ野生動物と共存していたときの名残りだと考えられています。肉食の猛獣に襲われたり、他の部族に襲撃されるといったことが頻繁に起きていた、人間の野生時代です。
ここまで交感神経が高まると、人間は無意識のうちに「2つの選択肢」に絞って考えます。それは「眼の前の敵と戦うか、それとも逃げるか?」という究極の選択です。
現代社会は野性時代よりもはるかに平和な環境になりましたが、自律神経が乱れることで、脳が錯覚を起こしてしまうのです。
自律神経失調症になると対人関係が苦手になりやすいことも、こういった人間の本能的な反応があるためなのでしょう。
まさか、職場の同僚や知人などを「敵」とはみなすことはないでしょうが、なんとなく人と接することに不快感を感じるようになります。
うつ状態
自律神経失調症が進行してくれると「うつ状態」に進行してしまうこともあります。
うつ状態は、自律神経失調症とは”真逆の性質”を持っています。
交感神経の高ぶりから、不安や緊張・焦燥感などを感じて神経質だったものが、うつ状態になるとやる気がまったく起きなくなり、そして鈍感になります。
うつ状態の人で対人関係が苦手になる理由は、前項とは全く逆パターンだといえます。
「他人と接することがおっくうになる」「会って話してもまったく楽しく感じない」といった感じで、初期の自律神経失調症とは異なる症状が生まれるのです。
「うつ状態」は、初期の自律神経失調症よりも治療が難しく、完治するまでにも時間がかかるといわれています。
そのため、自律神経失調症から悪化してうつ状態になることを避ける努力をしなくてはなりません。
➡自律神経失調症からうつ病は併発する?~症状や原因、予防法~
自分に自信がない
自律神経失調症に限らず、精神疾患を抱える人は心から自分に自信を持つことが難しい傾向にあるようです。
人が”自信”を持つためには、ある程度”自分で自分をコントロールできる確信”が必要です。
しかし自律神経失調症になると、自分の体が自分のものではなくなったような感覚に陥りやすくなります。頭では理解できないような症状が不規則に起こるので、自信が持てなくなるのも無理のないことかもしれません。
自分に自信のない状態で他人と接すると、自らを卑下したり劣等感を感じるなど、ポジティブな感情は生まれにくいものです。
他人と会話することで疲れ果ててしまい、しだいに一人でいることを好むようになってしまうのはこのためかもしれません。
対人関係の苦痛をなくすためにできること
人が他人と接触することなく現代社会を生きることは非常に困難です。
また、何らかの原因で対人関係が苦痛になったとしても、本心から「孤独が好き」というわけではないでしょう。
やはり人は人と接することで癒やしを感じたり安心感を得ることができますから、特別な性格の人を除いては、対人関係を大切にする必要があるといえます。
対人関係の苦痛をなくすために、以下のことを試してみてください。
自律神経を安定させる
対人関係についての苦痛はストレスからもたらされることが多いため、正しいストレスケアを行い自律神経を安定させることも有効です。
自律神経を整えるために、以下のことに集中しましょう。
- 規則正しい生活を心がける(早寝・早起き・良質な睡眠など)
- 運動不足を解消する
- 栄養バランスのとれた食生活を心がける
- ストレスケアを心がける(アロマ・ストレッチ・瞑想・ヒーリング音楽・半身浴など)
これらは主に「体に対するケア」になりますが、人の心と体は一体ですので、不健康な体と生活態度では自律神経も健康ではいられません。
上記の方法は、特別な知識がなくても実践しやすいものばかりです。自分にとって始めやすいものから取り入れてみましょう。
他人との比較をやめる
対人関係が苦手だと感じやすい人は、「他人と自分を比較するクセ」がある人が多いといいます。
健康時でも他人と比較する考えはよくありませんが、それが心身共に弱っている状態ではさらに良い結果は生まれないでしょう。
どんどんと自信が喪失していき、人と話をすることさえ嫌になっていくものです。
対人関係に苦痛を感じるようになったら、「自分は自分」「今は一時的に悪いコンディションになっている」などと開き直り、マイペースを貫くことが大切です。
思い切って環境を変えてみる
一度悪くなってしまった精神状態を良くするためには「気分を切り替える」ことが大切なのですが、なかなか個人の力ではうまくいかないようです。どうしても楽な方に流れてしまい、時間だけが刻々と過ぎてしまうのです。
こういった場合には、思い切って「環境を変える」というのも一つの方法です。
引っ越しや転職をしたり、あるいはもっとかんたんに部屋を大掃除して模様替えをするといったことでもかまいません。
経済的に余裕があるのならば、マイカーを買い替えたり新しい趣味を始めるなどして、生活のリズムに”変革”をもたらすのです。
少しの”強引さ”が功を奏することもあります。
精神的な不調から対人関係に苦痛を感じるようになったとしても、その人の「人格」まで変わったわけではありません。
たとえば、大事な発表会や仕事の直前などは誰しも心に余裕がなくなり、身体的なさまざまな症状が現れるものです。
自律神経失調症はそれが少し長期化したものだとも考えられます。
最悪なのは、「対人関係が苦手なこと」に慣れてしまうことです。
その状態が長く続けば続くほど、正常に戻りにくくなりますから、「早期治療」が大切だといえます。
〈まとめ〉
- 自律神経が乱れると対人関係に苦痛を感じやすくなる
- 自律神経失調症がうつ状態にまで進行すると人と会うことが億劫になることがある
- 自律神経失調症になると自分に自信が持てなくなり対人関係が辛くなりがち
- 対人関係の苦痛を改善するためには「自律神経を安定させること」「他人と自分を比較することをやめる」「環境を変える」ことが効果的