不安や憂鬱の取り除き方│不平不満や愚痴をやめ、感謝を口にする
自律神経失調症などの精神疾患は、「かかりやすい人」と「そうでない人」がいるということはご存じでしょうか?
生活習慣や肉体的な問題がなくても精神的な症状が出やすい方は、普段考えていることや発する言葉に意識を向けてみることで、新たな改善への気づきを得られるかもしれません。
精神科医やカウンセラーの話では、病院を訪れる患者には「愚痴っぽく不平不満を言う」人が多いそうです。
「そんなことくらいで・・・」と疑われるかもしれませんが、実はこういった「負の感情」が脳機能や自律神経に大きく影響を与える危険性が高いと言われています。
この記事の目次
不平不満や愚痴が呼び込んでしまうもの
人の感情や気分に影響を与える脳内物質は、「人が発する言葉とも連動するのではないか」と考えられています。
不平不満や愚痴を口にすることによって脳が興奮し「ノルアドレナリン」が過剰に分泌されると、全身が「戦闘モード」に切り替わってしまう性質があります。
たまにそういった言葉を言うだけであれば問題ありませんが、不平不満や愚痴を言う人はどうしても「口ぐせ」になっていることが多いようです。
なので、脳と神経が頻繁に「戦闘モード」になり、興奮や緊張感を持ち続けることになります。
戦争を経験した兵士には、うつ病や依存症、自律神経失調症などの患者が多いことはよく知られていますが、人間は長期間にわたって「戦闘モード」による緊張感を持ち続けるほど強くはありません。
戦闘モードが長く続いてしまうと、心身が休息することができなくなり、次に示すような症状を呼び込んでしまうようになります。
- ストレスを蓄積させてしまう
- 慢性的なイライラ、情緒不安定
- 自分でも理解できないような攻撃性が現れる
- 小さな音、変化にも敏感になる
- 睡眠障害
- 便秘、消化機能不全
- 不安感、抑うつ感
- 疲労感
不平不満や愚痴を言う代わりに感謝を口にする
アメリカの心理学者、ウイリアム・ジェームズは「人は悲しいから泣くのではなく、泣くと悲しくなるのだ」という説を唱えました。
人間の感情の出発点は、「心」ではなく「体」の方が先なのではないか?という発想です。
学会での発表当初、この論証は医学界では受け入れられませんでしたが、時が経つにつれて次第に認められ始めています。
この視点から考えると、腹が立つから不平不満や愚痴をいうのではなく、「不平不満や愚痴をいうから腹が立つ」と考えることができます。
このように、人間の「感情の発生」は習慣になっている「口ぐせ」からもたらされている可能性があります。
そのため、心に「マイナスの感情」が起きたとしても、反対にプラスの「言葉」を発することで打ち消すことができます。
私が自律神経失調症を薬に頼らず自力で完治するのに役立った6つの改善法の記事でも書いていますが、「ありがとうの神様」という書籍にはこんなフレーズが載っています。
人間は、「自分の発した言葉」で自分の人生をつくっています。「私」の周囲の環境や、自分が立たされた状況は、すべて「自分の発した言葉」によって形成されていきます。ですから、「嬉しい、楽しい、幸せ、愛している、大好き、ありがとう、ツイてる」と言い続けると、この言葉をまた言いたくなる現象や出来事に囲まれます。
実体験としても、やはり日頃からプラスの言葉を何度も発することによって、不安感や憂鬱感が不思議なくらいに無くなっていき、とても救われました。
「ありがとう」と言い続けるだけで様々な悩みが解消する、、といったことはにわかに信じがたいことかもしれません。しかし、この現象は脳科学の視点から見ても理にかなっており、正のスパイラルが起きた結果、様々な恩恵を受けることができます。
ぜひ一度試してみてください。
感謝することのメリット
インドでは、「笑いヨガ」といったものが流行しています。
公園に数人のグループを作り、ただただ笑い続けるという変わったヨガですが、その健康効果の高さに始める人が急増しているそうです。
これも、幸福の象徴である「笑い」を先に実行することで気分を鎮めてリラックスし、蓄積するストレスを解消するという方法です。
「感謝すること」もまた、笑いと同じくプラスの感情を生み出し、以下のようなメリットをもたらします。
- 不安感や憂鬱感が解消する
- 嫌な出来事を何日も引きずらない
- 夜にぐっすり眠れ、毎日新たな気分で朝を迎えられる
- 『気分の切り替え』ができて清々しくなる
- 気持ちが前向きになり、やる気が出てくる
健康をむしばむストレスは「蓄積」していく特徴があるので、感謝することで嫌な気分を”完結”させてしまうことは非常に大切なことです。
こういった気分の切り替えは、精神安定に必要不可欠な「セロトニン」を多量に分泌させることもわかっています。
➡自律神経失調症の治療に欠かせない『セロトニン』│増えるメリット・減るデメリット・増やし方など
感謝のコツ
このように「感謝すること」は心と体を健康に保つために有効な方法だといえます。
ただ、いきなり「感謝をしろ」といわれても、これまでの習慣や口ぐせは簡単に治るものではないと思います。
そのため、まずは簡単な方法から始め、徐々にレベルアップしていくことをおすすめします。
レベル1.理由がなくても「ありがとう」とたくさん言ってみる
これは「ありがとう」という言葉を口に出して言うだけなので、どなたでも簡単にできるかと思います。
これまで口癖になっていた「愚痴」は極力言わないようにして、理由がなくてもとりあえず「ありがとう」とたくさん言ってみるだけでも効果があります。
家事や運動をしているときに、「ありがとう」と何度もつぶやきながら行うと一石二鳥です。
非常に簡単なことですが、これだけでも気持ちが楽になっていくのが実感できるかと思います。
レベル2.今あるものに感謝する
レベル1が習慣になってきたら、次は「今あるものに感謝」をしてみましょう。
- 五体満足であること
- 気軽に話せる友人がいること
- 毎日食事ができること
- 恋人がいること
- 家族がいること
- 就職できていること
- 帰る家があること
など・・・
普段は当たり前だと思ってなかなか気が付かないようなことですが、少し振り返ってみるだけでも「感謝すべきこと」はたくさんあるかと思います。
そういった出来事や環境に気が付いたときは「ありがとうございます」と言ったり思ったりするだけでも、気持ちはずいぶんと違ってきます。
レベル3.困難にも感謝する
ものの捉えかたには2面性があります。
「会社の給料が安い」と不平不満を言うこともできますが、「リストラされずにすんでいる」「毎日働ける場所がある」と感謝することもできます。
たとえ車で事故を起こしたときにでも、「車が壊れて悲しい」と思うこともできますが、「怪我をしなくて良かった」「命を失わずにすんで良かった」と考えることもできます。
こんな風に、困難なことが起きたときに発想を転換させて感謝できれば、どんなことにも不平不満や愚痴は出てこなくなってきます。
この考え方が身についてくると、ちょっとした嫌な出来事が起きてもへこたれなくなったり、不安やゆううつを引きずらなくなります。
こちらの記事もどうぞ➡自分でできる自律神経失調症改善法
おわりに
「感謝すること」は、人間にしかできないことだと言います。
野生動物は恐怖と緊張、不安の中で暮らしているため、非常に短命です。
一方人間は、進化した脳で「感謝すること」を積極的に行うことで、苦難やストレスに打ち克ち、健康な状態を長く維持できる動物だと言えると思います。
ぜひこの機会に「感謝」の習慣を身につけ、不安や憂鬱を寄せ付けない身体を手にいれてみてください。
また、記事中でご紹介した「ありがとうの神様」のリンクは以下に貼っておきますので、興味のある方はぜひ一度読んでみてください。
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この記事のまとめ
- 不平不満や愚痴を言うと脳が「戦闘モード」に切り替わってストレスを受ける
- 不平不満や愚痴を口ぐせにしてしまうと精神疾患や自律神経失調症の諸症状が現れる
- 理由がなくても「感謝」をすることで心が切り替わり清々しい気分になる
- 「感謝」をすることで「セロトニン」が分泌される
- 段階的に「感謝」していくことで徐々に不平不満や愚痴を言わなくなる