便秘・下痢・胃もたれの原因や具体的な症状、改善策

「下痢や便秘が続いている」「吐き気や胃のムカムカを感じることが増えた」

このような症状は、自律神経失調症が原因になっている可能性があります。

胃や腸などの消化器は自律神経の働きが強い場所であるため、何らかの原因で自律神経に狂いが生じると胃や腸に様々な不調が現れると考えられます。

このページでは、胃と腸に現れるさまざまな症状の原因や改善策をまとめていますので、不調を感じている方はぜひ参考にしてみてください。

1.便秘の原因

便秘
現代人は「隠れ便秘」の人が多いと言われています。便は通常毎日出るのが基本であり、力まずに短時間で黄銅色の便が出るのが正常です。

胃腸などの消化器官は人の意思に関係なく働いています。基本的には朝から昼くらいの時間が排出時間となっており、夜に消化や吸収など多くの働きをしています。

消化器官は副交感神経(リラックスをつかさどる神経)が優位になった時に活発になり利尿作用が働きますが、副交感神経が弱まったり抑えられることで腸の働きが低下し、便秘を引き起こします。

また、強いストレスを感じると交感神経(緊張や興奮をつかさどる神経)が優位になりますので、腸が刺激されお腹が痛くなったり食欲がなくなったりします。緊張状態が続いて交感神経が優位になっていると消化器官は活動を始めるタイミングを無くしてしまい、消化吸収や排出という作業全体が不完全なものになります。これが便秘の原因だと考えられます。

2.下痢の原因

精神的な強いストレスがあまりに長期間続くと、人体の各組織の許容範囲を越えてしまいます。

交感神経の影響によって筋肉群は緊張・硬直してしまう状態になり、危険を感じた脳のセンサーは緊急的に副交感神経を働かせます。そして弛緩させる(ゆるませる)信号を出し、これが原因で下痢を起こしてしまうことがあります。

こうした便秘や下痢が頻繁に起きたり、それに加えて不安感や憂鬱などといった精神症状がある場合は自律神経失調症である可能性があると言えるでしょう。

3.胃の調子が悪く感じる時

胃

慢性的に食欲が無かったり、食べたとしても吐き気を感じる、胃がムカムカとして違和感を感じるなどの症状が出る時も自律神経失調症を疑います。

胃も精神状態の影響が顕著に現れるところであり、大事な試験や本番、スピーチなど人前に出る機会などがあると、前日から胃腸の調子がおかしくなり、痛くなったり、治まったりを繰り返し、当日などはお腹の中がよじれたような体感を味わうこともあります。

頻繁にこういう状態になったり、悩み事や心配事が長い間続くと胃酸が正常に分泌されずに胃壁を荒らしてしまい、神経性胃炎や潰瘍の原因にもなりますので注意が必要です。

基本的に、食事は副交感神経が優位な状態でないと体は受け付けません。精神的に負担が大きい大切な仕事をしている時や、何かの本番前に食欲が無くなるのは誰しも経験することでしょう。

この「食欲」においても自律神経が大きく影響を与えており、「食べる時と食べない時」を栄養面以外の部分で判断しています。緊張状態でいつものように食事をとってしまうと消化不良を起こしたり下痢をしたりしますが、これは消化器官全体が食べ物を受け入れる状態になっていないからなのです。

4.腸の不調を感じる時

腸

脳内伝達物質の管理や調整の役割を果たす『セロトニン』は、そのほとんどが腸内で作られます。

第二の心臓と言われる腸は、脳と強く干渉しあう臓器であり、精神的なストレスを発しやすい器官とも言えます。

「過敏性腸症候群(IBS)」と呼ばれる症状は、脳からの危険信号を受けた腸が異常に反応してしまう症状であり、急速にセロトニンが大量分泌してしまうことによる疾患です。

症状としてはガスが溜まりやすくなる、よじれる感覚、下痢などが挙げられ痛みを伴うことも少なくありません。

整腸剤や腸専用の治療薬などでもある程度緩和されますが、根本解決にならないばかりか、それが習慣化してしまうと「本番前はお腹が痛くなる」「仕事に行こうとすると下痢をする」など新たな精神的不安や恐怖を作り出して症状を悪化させてしまいます。

便秘や下痢の考えられる改善策

まず、毎日摂取する栄養素や食事法を気に掛けるようにしましょう。

食生活を見直すことで、腸内環境が整い、さまざまな不調の改善が期待できます。

詳しくは➡食生活を見直して自律神経失調症を改善する│セロトニンを増やす栄養素と食事方法

また、便秘など腸に対する改善策として挙げられるのは、「漢方薬」の利用です。これは自律神経失調症だけではなく、単にお腹の調子を崩しやすい方にも効果的です。

漢方は種類が多くありますが、中でも「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」という漢方がおすすめです。効果効能としては、便秘、月経不順、月経困難症、月経痛、月経時や産後の精神不安、腰痛などが挙げられます。

詳しい記事≫自律神経を整える漢方療法

もちろん、症状があまりにひどい場合は病院で診てもらうことをおすすめします。

まとめ

こういった自律神経の仕組みが解明されていなかった頃、学校や職場で「お腹がいたい」というのは仮病の代名詞としか思われませんでしたが、近年の研究により精神疾患の一つとして病名がつけられ、その治療法の研究も進められているのです。



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