転職、異動で自律神経失調症に!環境の変化がもたらす影響と対策とは
自律神経失調症を始めとする精神疾患は、思いもよらないことがきっかけとなって発症することがあります。
会社勤めをされている人ならば「転勤」や「異動」などといったこともめずらしくありませんが、そういった”環境の変化”だけでも大きなストレスとなり、自律神経失調症の原因となることがあるようです。
出世につながるようなうれしいケースであっても、多くの人はストレスを作り出してしまいます。
ここでは、転職や異動などの環境の変化によって自律神経失調症になる原因や症状、対策を解説しています。
この記事の目次
転職や異動がもたらすストレスは大きい
「転職」や職場内での「異動」は、それ自体が人の精神に悪いわけではありませんが、環境が変化することによってストレスを感じることが多くなります。
自律神経失調症だけではなく、「うつ病」「パニック障害」「統合失調症」の起きるきっかけとしても以下のようなケースが知られています。
- 結婚
- 引っ越し
- 職場での異動
- 転職
- 転勤
これらに共通するのは「環境の変化」です。
人は、これまでに経験したり慣れ親しんだものに対して”安らぎ”を感じます。子供の頃に感じた「味・香り」「音」などを記憶し、再びそれを経験したときに懐かしい感覚が起きるのも、人間の持つ本能的な機能なのです。
反対に環境が変化することで、強い刺激と新鮮味を感じる人もいますが、精神状態によってはそれを不快に感じることもあります。無意識のうちに強い緊張や不安などのストレスが重なり、病的な症状にまで進行してしまうことは珍しいことではありません。
また、出世や夢をかなえるために仕事を頑張ろうとする意気込みが、裏目に出てしまうこともあります。環境が変わると疲労感を感じにくい状態になりますので、自分の体力の許容量を超えてもなかなか気が付かないものです。
こういったことも、転職や異動によって自律神経失調症が起きやすい要因だといえるでしょう。
自律神経の乱れで現れやすい主な症状
転職や異動によって自律神経失調症になる場合、次のような変化と症状が現れることがあります。
〈自律神経失調症の症状〉
- 眠れなくなる、朝早く起きてしまう、眠りが浅い
- 便秘、下痢をしている
- 異常な食欲の増減
- 肌荒れがひどい
- 不安、緊張、恐怖感などを感じる
- 意味もなくイライラする、怒りっぽくなる
- だるさや重さを感じる
- 集中力、注意力の欠如
- 突然やる気がなくなる
自律神経失調症のレベルによって現れ方もさまざまですが、転職や異動のあとに上記のような症状があれば危険信号だといえるでしょう。
転職、異動後に心がけたい予防と対策
転職、異動によって大きな不調を抱えないためには、「考え方」と「生活習慣」の2つに注意することが大切です。
以下の対処法を参考にしてみてください。
初めから飛ばしすぎない(がんばりすぎない)
部署や転属先が決まると、たいていの人は気分が切り替わってやる気やモチベーションが向上するでしょう。転職、異動のあとには覚えなければいけないことも多く、しばらくはバタバタと落ち着かない日が続くかと思います。
しかしこの忙しい時期こそ、自分の心をセーブし、ストレスを溜め込まない工夫が必要です。
初めから飛ばしすぎ、途中で心と体がもたなくなるのを防がなければなりません。きちんと仕事とプライベートの時間を分け、少し多すぎると感じる程度の休息時間を設定しましょう。
中には休日返上でがんばってしまう人がいますが、長い目で見たときにそれが続かずダウンしてしまうようなことになれば本末転倒です。
昔、日本のアスリートたちが世界の舞台でまったく刃が立たなかった時代、日本の選手たちは世界から「練習のしすぎで疲労している」のだと指摘されてきました。
世界で活躍する選手は「休息の大切さ」をよく知っていたのです。
現在になって日本人アスリートも休息することの重要性を知り、無茶な練習をすることがなくなったことから、世界で活躍できるようになったといいます。
まじめな人ほど、昔の日本人アスリートのような状態に陥りやすいので、注意しましょう。
疲れやストレスを溜め込まない(ストレスケアをする)
転職、異動後の忙しい時期には、自分でも気づかないうちに疲れやストレスが溜まっているものです。
自律神経を正常に保つためには、この「小さな疲労」「小さなストレス」を、毎日取り除いてやることが大切です。
忙しい日々の中から、ほんの15分~30分程度でも「ストレスケア」のために確保しましょう。
- 半身浴
- 好きな音楽を聴く(ヒーリング音楽なども効果的)
- アロマやハーブティーなどで香りを楽しむ
- ストレッチやヨガなどで体をほぐす
- ウォーキングなどの有酸素運動を取り入れる
ストレスは放っておくと、知らないうちに限界を超えてしまいます。
「ストレス貯金」をいかに減らして行くかが、自律神経の安定のために大切なことなのです。
環境に慣れるまでは時間がかかるものと認識しておく
自律神経失調症において「焦り」は禁物です。
気分が焦っていると、心と体は緊張と不安に包まれてしまい、”悪循環”を引き起こします。
早く新しい環境に慣れたいという気持ちを抑え、「慣れるまでは時間がかかるものだ」と、開き直ることで余計なプレッシャーを感じずに済むでしょう。
真面目で責任感が強く実直な人ほど、この気持ちの切り替えがうまくできない人が多いようです。
転職・異動が決まったら、慣れるまでには時間がかかることを認識し、焦りを感じないように注意しましょう。
ここ数年、隠れうつ病や不安障害、パニック症候群などが会社勤めをしている人に増えています。それらの前兆として、今回ご紹介したような自律神経失調症の症状が現れることがあります。
転職や異動など、一見それほど大きな変化に思えないものでも油断は禁物です。
デリケートな自律神経は、ほんの些細な変化に悪影響を受けることがあることを、十分に知っておく必要があります。
〈まとめ〉
- 転職や異動によって自律神経に不調が現れやすいのは「環境の変化」と「強すぎる意気込み」が原因になることがある
- 転職や異動によって自律神経失調症になるとさまざまな不調が現れる
- 転職や異動の後は「初めから飛ばしすぎない」「ストレスケアを心がける」「慣れるまでには時間がかかると認識しておく」ことが大切