仕事前の下痢・腹痛が続く場合は『過敏性腸症候群』を疑おう
自律神経の乱れによって起こる症状はさまざまですが、「腸」もまた自律神経が深く関わっている場所で、典型的な症状が出やすいところでもあります。
毎朝仕事前にお腹に違和感を感じたり、下痢をしてしまうのも、自律神経に不調が現れている可能性があるといえるでしょう。
こういった症状を「過敏性腸症候群」といい、多くの自律神経失調症患者に現れる症状です。
毎朝のように下痢が出るという人は、”ストレス”の状態をチェックする必要があります。自分では自覚てきていないストレスでも、敏感な腸は精神と体の異変を感じているのです。
ここでは、自律神経失調症の代表的な症状である、過敏性腸症候群の原因や対処法などをまとめています。
この記事の目次
仕事前に下痢が続く症状と原因
腸は、脳に次ぐ「考える器官」と呼ばれていて、非常に複雑で不思議な働きをする臓器だということが分かっています。人の心の感情とも深いつながりがあり、ストレスなどには敏感に反応してしまうのです。
古くから東洋医学では、腸と感情・気分との関連は認知されていて、精神疾患の改善薬として処方される漢方薬に、整腸作用のある生薬が使われてきたことからも、それは裏付けされています。自律神経失調症になり気分が不安定になると便秘や下痢の症状が現れやすいのも納得できることなのです。
腸を含む人の消化器官は、自律神経の「副交感神経」が優位な状態で正常に働く性質があります。そのため、自律神経失調症になり交感神経ばかりが活性化し、副交感神経に切り替わりにくい状態になることで、腸にさまざまな不調が現れやすくなるというわけです。
職場になんらかの悩みがあったり、プレッシャーを感じている人は、出社する朝に強いストレスを受けます。ストレスによって交感神経が高まりすぎると、初期の頃には便秘になりやすくなります。
しかし、あまりにも強いストレスを受けると、今度は体の防御反応が働き、強引に腸を働かして排出活動をうながし、本来の排便ではない時間に便意を起こした結果”下痢”となって現れるのです。
これは、発表会や試験、大切なイベントの前などに、頻繁に尿意を感じることと似ています。交感神経の異常な活動によって、排便のタイミングが不適切になることも、自律神経失調症における下痢の正体です。
仕事前の下痢・腹痛は軽視してはいけない
出社前の強いストレスを受ける時間帯に、過敏性腸症候群の症状はピークとなることが多いようです。こういった症状を持つ人は、朝以外のときでも腸は正常な動きをしにくくなります。
腸にはたくさんの働きがあり、便秘や下痢が続くと、消化活動以外の働きも悪くなる可能性があります。腸にはデトックス作用や免疫を育てる役割など、肝臓や腎臓と連動して多くの生体活動に関係しているのです。
食事をして腸内に入った栄養は、腸内細菌の力によって代謝されて吸収し、必要なカロリーや栄養成分として代謝されていきます。ですから、下痢や便秘が続いていると、どれだけ良い食事をしても吸収されずに排便されてしまうのです。
たんなる「朝の下痢」という軽く見られがちな精神的症状ですが、じつは健康全体に暗い影を落とす怖い状態だといえます。そして、腸内環境が悪化していると、今度はそれが脳にフィードバックします。
下痢や便秘の状態が続くと、人の精神状態を大きく左右する脳内の神経伝達物質「セロトニン」が減少することが分かっているのです。
朝快便だったときには、なぜか1日気分も爽快ですが、便秘や下痢の場合には、1日中気分が優れないということを経験した人も多いはずです。
腸内環境が悪いと、プレッシャーやストレスに弱くなり、それがまた自律神経にも悪影響を与えて症状を悪化させることにもつながるのです。
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過敏性腸症候群の改善のためにストレス状態を見直そう
毎朝出社前に下痢をするのであれば「ストレス状態」を見直すことが先決です。
もちろん、腸内環境を整えることも同時にしなくてはなりませんが、まずは精神状態から腸へ悪影響を与える経路を断ちましょう。
不安や憂鬱、緊張を抱えすぎていないか
なんとなく「ストレス」を感じていても、毎日の生活に追われてしまい、放置してしまうものです。
元気だった頃の自分とくらべ、毎朝下痢をしてしまう今の状況が、どれだけストレスに苦しめられているかをチェックしましょう。
- 仕事の頑張りすぎ
- 1日のうちで休息をどれだけとれているか
- 気がつくと仕事や会社のことを考えていないか
- 趣味に費やす時間が減っていないかどうか
- 食欲の状態(多すぎても少なすぎても良くない)
- 運動不足になっていないかどうか
- 1日の中での「笑っている」時間の量は多いか
- 睡眠状態(睡眠時間・朝起きたときの状態、気分など)
- 「不安」を感じる瞬間の量は多くないか
- なんとなく「憂鬱」に感じる時間の量は長くないか
- 肉体的・精神的な「緊張」の有無
これらを一つ一つチェックしていくと、自分が現在受けている「ストレス量」を推測することができるはずです。
過労状態になっていないか
人間は「精神と肉体」が対になり、相互干渉しながら生きています。
自律神経失調症の原因は”精神的”なことばかりではなく、肉体的な要因によっても引き起こされることがわかっています。肉体的な原因から自律神経失調症になる、もっとも多いケースは「過労」です。
最近、異常な残業によって「うつ病」になった人たちが、取り返しのつかない不幸にみまわれる事件が多発しているように、「過労」は人の精神を破壊する原因になりえます。
脳科学的に見ても、神経伝達物質「セロトニン」は、疲労によってたくさん消費されることが分かっています。毎朝出社前に下痢をしてしまう人は、「1日」「1週」「1ヶ月」の労働時間を思い出し、過労気味になっていないかをチェックしてみましょう。
会社や職場に悩みのない人でも油断はできません。単純に肉体的な疲労が蓄積していくだけでも、しだいに脳機能と精神状態をむしばんでいくこともめずらしくないのです。
ストレスを意識的に解消しているか
現代人は、多方面から「ストレス」を受ける生活を強いられています。
生活環境の中に自然が多かった昔の時代とはくらべものにならないほど、現代の生活はストレスの多い環境だといえるでしょう。
昔は自然の植物などから感じられる香りや音、目に見えないイオン物質などで心と体が癒やされていましたが、都会の生活ではそれらは皆無に近いものです。ですから、現代人がストレスの蓄積を防ぐためには、”意識的にストレスケア”をする必要があります。
「ヒーリング」「癒やし」の方法を、積極的に取り入れるべきなのです。
アロマやハーブティー・ヒーリング音楽など、ここ数年人気の高いものも効果がありますし、ハイキングやウォーキング、自転車やスキューバダイビングなどのアクティビティもストレス解消には効果的です。
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また、自分が心の底から楽しめる趣味に没頭することも、積極的なストレス解消法だと言えるでしょう。
「ストレスを解消する」と難しく考えず、「楽しむ」「良い気分でいられる時間をつくる」という考えの方が分かりやすいかもしれませんね。
仕事に真剣に取り組み、プライベートな時間をも犠牲にするような”まじめな人”ほど、自律神経失調症になりやすいといわれています。
「毎朝の出社前の下痢」は、非常に分かりやすい自律神経失調症の予兆といえます。
なかなか自覚しずらい自律神経失調症ですが、腸の健康状態をみることで、自分のストレスと精神状態を知ることができることを知っておきましょう。
〈まとめ〉
- 仕事前に下痢が続くのはストレスからくる自律神経失調症の可能性がある
- 仕事前の下痢は肉体的な病気と精神的病気に進行する危険性がある
- 「不安・憂鬱・緊張」「過労」「ストレス解消」の度合いをチェックするすることが大切