自律神経失調症とデパス│効果・副作用・注意点
自律神経失調症の人が精神科を受診した際によく処方されるのが「睡眠導入剤」や「抗不安薬」です。
中でも抗不安薬である「デパス」は多くの症状に改善効果が見込め、処方する側も扱いやすいことから多くの精神科・心療内科で採用されています。
私自身、強い緊張を和らげるためにデパスの力を借りていたことがあります。デパスを飲んだあとは確かに不安や緊張といった症状が楽になったのを覚えています。
しかし、デパスを含めた抗不安薬を服用する際は、副作用や依存、離脱症状などの「リスク」が生じることもきちんと知っておかなくてはなりません。
中には「薬を飲まないと不安でやめられない」といったような方もいます。こうなってからでは依存から抜け出すことが難しくなってしまいます。
ここでは、デパスの効果や副作用、使用時の注意点などについてまとめていますので、参考にしてみてください。
この記事の目次
デパスはどんな症状に処方されるのか
デパスは「エチゾラム」という薬品で作られた抗不安薬です。
薬の作用としては、脳の興奮を抑える脳内ホルモン「GABA(ギャバ)」の作用を強化することで、緊張や興奮を抑制するというものです。
次に挙げるような精神・神経系の疾患に適用されることが多いようです。
- 自律神経失調症
- 不眠症
- 不安神経症
- うつ病
- パニック障害
- 心身症(緊張・興奮によって起きる神経性の内臓の不調)
脳の興奮が持続することによって起きる多くの症状にデパスは有効性を示します。
自律神経失調症もまた、興奮と緊張を起こす交感神経が過度に高まり、「体が緊張している」「不安が取れない」「眠れない」といった状態が続きますから、デパスの作用はピッタリと当てはまるのです。
こういった症状を薬に頼らずに改善するには、興奮状態を落ち着かせて効果的にリラックス状態を作りだすような方法が効果的です。
用量について
デパスにはいくつかの用量による分類があります。
〈デパス錠の用量〉
- 0.25mg
- 0.5mg
- 1mg
他の抗不安薬や睡眠導入剤と同様に、処方は用量の少ないものからはじまります。
1日の摂取量は症状によって異なりますが、自律神経失調症や不眠症の改善目的として用いられる場合には、1回1mgのデパスを1日3回に分けて飲むことが多いようです。
また、軽度の不眠症対策として用いられる場合には、就寝前に1~3mgを服用します。
的確な用量を問診だけで見極めるのは難しく、実際には軽いものから初めて服用し、経過を見ながら医師と相談・調整していくことが多いようです。
効果はどのくらい持続する?
抗不安薬や睡眠導入剤は「効果の強さ」と「持続時間」によって処方の調節がなされます。
抗不安薬や睡眠導入剤は、効果の強さと持続時間によって細かく分類されていますが、デパスは「短期型」で「低い効果」に分けられています。
抗不安薬の効果の持続時間を計るために用いられる「半減期」という計算の方法は、血中の薬の成分が半分以下になり、効果も半分ほどに弱まる時間のことをいいますが、デパスの半減期は3時間~6時間程度だといわれています。
デパスの副作用と注意点
デパスをはじめとした抗不安薬や睡眠導入剤には、必ずといっていいほど「副作用」があります。
また、薬の服用をやめるときに起きる「離脱症状」も軽視できないものです。
離脱症状が強いものは「依存性」の大きな原因になるので、こういったリスクの部分をあらかじめ知っておくことも大切です。
〈デパスの副作用〉
- 依存症
- 持ち越し効果(翌朝まで薬効が残ってしまう)
- 興奮・錯乱
- 息苦しさ
- 覚醒時の頭痛・頭重
- 注意力・集中力低下
- 脱力感・倦怠感
- ふらつき・めまい
- ふるえ
- 生理不順
- 健忘症・記憶力の低下
- 肝機能障害
抗不安薬の「依存症」は、成分がもともと持っている”肉体的な依存”と、その薬に頼る心理から起きる”精神的な依存”とがあります。
依存性は「効果が強い」「効き方が早い」ものほど強いとされています。
デパスは薬効は低めですが、効き方が早いという特徴があるので、依存性がある程度存在することを覚悟しなくてはなりません。
実際に「イライラするから」「飲まないと不安だから」という理由で安易にデパスの服用をはじめて、何年も服用をやめられなくなる人もいます。
薬に代わる改善方法を模索することも大切
デパスなどの病院の精神病薬には、ある程度確実な効果と即効性があります。ですが、これらの治療薬は自律神経失調症の”根本治療”にはつながりません。
いわゆる「対症療法」というものなのです。
どうしても耐えられない症状に苦しんでいる場合にはためらわずに利用しても良いかと思いますが、安易な気持ちで服用すると危険が伴います。
自律神経失調症を完全に治療するためには「薬に代わる改善方法」を模索し、自分の力で克服できるように努力をすることが大切です。
- 生活リズム(習慣)を正す
- 食生活を改善する
- 運動をする
- ストレスケア・リラックス法を始める
- 睡眠環境を整える
など、薬を使わない方法はたくさんあります。
また最近では、天然成分を主とした安心で効果的なサプリメントやハーブティーもいくつか販売されています。こういったものには副作用もありませんし、自然治癒力を高めて根本改善も期待できますので、ぜひ試してもらいたいものです。
デパスを始めとした抗不安薬や睡眠導入剤による副作用は、なぜかメディアにはあまり取り上げられることが少ないですが、実際には多くの方が苦しめられているというのが現実です。
自律神経失調症治療の効果を上げている有名精神科の多くが、「薬物治療」ではなく、生活スタイルの改善指導や認知療法、作業療法などのデイケアを治療の中心にしていることからも、精神病治療薬だけでは根本治療は期待できないことがうかがえます。
〈まとめ〉
- デパスは自律神経失調症をはじめ多くの精神病治療に使われる
- デパスは1日3mgの用量を用いることが多い
- デパスの持続時間は3~6時間程度
- デパスには依存性をはじめ多くの副作用がある
- 自律神経失調症治療には薬に頼らない方法を模索することも大切