自律神経を整える栄養素と食事レシピ
自律神経は様々な原因で正常なバランスを失い、精神のみならず全身の健康状態に悪影響を与えます。
多くは外的なストレスや心の持ち方、個人の性格なども要因となりますが、忘れてはならないのが『食生活』です。
私自信、摂取する栄養素や食事方法を変えただけで、さまざまな不調が改善したという実体験があります。
▼詳しくはこちらの記事に書いています
食生活を見直して自律神経失調症を改善する│セロトニンを増やす栄養素と食事方法
人は食事をしなければ生きていけませんが、単に燃料としてのカロリーを摂取しているだけでなく、心身に受けた多くのストレスの修復のためにも食物を口にしています。
うつ病や自律神経失調症患者を調べると、ビタミンやミネラルの欠乏症を併発している場合が非常に多く、精神疾患と栄養状態の関連性は深いことがわかっています。
この記事の目次
ビタミン・ミネラルは脳のメンテナンス係
自律神経に異常が起きる前は、長く脳に強いストレスを感じていることが多く、それは「ダメージを受けたこと」よりも「ダメージを修復しなかったこと」が原因になっている場合がほとんどだそうです。
脳をリフレッシュする栄養素には以下のようなものがあり、このような栄養素をできるだけ毎日摂取することでさまざまな精神疾患の予防にもつながります。
- ビタミンB1・・脳中枢のバランスをとる
- ビタミンB6・・神経伝達物質の合成
- ビタミンB12・・神経伝達機能の正常化
- ビタミンC・・ストレスへの対抗力
- マグネシウム・・安定剤効果
- 亜鉛・・鎮静効果
- カルシウム・・神経伝達物質全般の修復
- トリプトファン・・神経伝達物質の調整役であるセロトニン生成の原料
この他にも葉酸、パントテン酸、ビオチンなども精神状態を大きく左右する物質として軽視できません。
これらの栄養素が欠乏すると心身に受けたダメージがリフレッシュされないまま生活をすることとなり、しだいに疲労し、病気に蝕まれていくことになってしまいます。
➡精神安定・安眠を促す『トリプトファン』の効果│多く含む食品・サプリメントは?
健康の維持に必要な栄養素が不足する理由とは?
上記の栄養素は特別なものではなく、正しい食事をしていれば十分に摂取できるものです。
ではなぜこれらは不足するのでしょうか?
それは、現代の食生活や都市部で暮らす生活様式に問題があると考えられます。
〈栄養素が不足する要因〉
- インスタント、レトルト食品の多用
- 飲酒、喫煙、
- ダイエットによる摂取不足
- 糖質の摂り過ぎ
- 外食
ビタミンは非常に壊れたり変異しやすい性質があり、時間の経緯とともに含有量が減少します。
畑で採れたものをすぐに食べていた時代と今とでは、見た目は同じ野菜でも、栄養価はかなり違うと言われています。
そしてビタミンは加工されて時間が経てば経つほどに破壊されますので、レトルト食品やインスタント食品に十分な栄養補給は望めません。
外食、特にファーストフードなどはコスト削減のためにセンター工場で加工した材料を各店に時間をかけて運搬して調理するために同じ状態であると言えます。
アルコールやニコチン、または砂糖を分解するには多くのミネラルを消費しますので、これらも栄養素の欠乏症の原因になります。
そして砂糖は高インシュリン食品であり、低血糖体質の原因になります。低血糖時には非常に精神状態が不安定になり、自律神経にも悪影響を与えます。
自律神経を整える食生活
うつ病、自律神経失調症の患者にアンケートをとると、「スーパーや市場などで買い物をして料理をする」という普通の生活をしていない場合が多く、生鮮食品の摂取の少なさが目立つそうです。
スープなどのダシの取り方でも顆粒を使うのと、しっかりとかつおだしや鶏ガラでとっているのとでも栄養面では大きく違ってくると言います。
栄養価が高まる食材の旬を知り、なるべく新鮮なものを砂糖や化学調味料を過度に使わずに調理して肉と魚、野菜をバランス良く摂ることで栄養素の欠乏を防ぐことができます。
また発酵食品は食材の持つ栄養素を効率よく摂取することができ、腸内環境を整えて吸収率を上げる優れた調理法であることも覚えておくとよいでしょう。
➡腸内環境を整えて精神を安定させる方法│効率よくセロトニンを増やして不調を改善しよう
自律神経失調症の改善に繋がる栄養素とレシピ
生活習慣病が急速に増え始めた頃と、ジャンクフードやインスタント食品などが普及し始めたのは、ほぼ同時期だそうです。
自律神経失調症やうつ病・睡眠障害もまた「食の欧米化」によって増えた疾患だとも言われています。
このように、「心身の健康」と「食」は深くかかわっているため、日頃の食生活を見直すことで症状の改善に役立つかもしれません。
ここでは、自律神経失調症などの精神的な疾患に対して改善効果のある食品やレシピをご紹介します。
不足すると自律神経失調症になりやすい栄養素
自律神経失調症を改善するために、不足してはいけない栄養素としては以下のようなものが挙げられます。
アミノ酸
人体の水分以外の部分のほとんどは「アミノ酸」で構成されています。アミノ酸バランスは人の心と体の健康に深くに関わっており、「健康を左右する成分」と言っても過言ではありません。
ミネラル類
自律神経失調症になる人の多くは「ミネラル不足」になっているといいます。
脳内の神経伝達物質を円満に働かせて正常な状態を保つには鉄分・カルシウム・亜鉛などのミネラルは必須栄養素です。
ビタミン類
ビタミン類は体内酵素の働きを助ける大切な栄養素です。
とくに神経系統に関係が深いのがビタミンCとビタミンB群になります。
≫ストレスに強くなる「ビタミンB群」を摂取して精神疾患を予防しよう
自律神経失調症改善に役立つ食品
「アミノ酸」とひとことで言っても、非常に多くの種類がありますが、自律神経失調症に深く関わるものとしては「トリプトファン」や「ギャバ」「グリシン」「アルギニン」などが代表格です。
また、ミネラルにもいくつか種類がありますが、鉄分・亜鉛・カルシウムなどを重視した食品を選ぶようにすると良いと言われています。
ビタミンはもっとも一般の人に認識がある栄養素ですが、意外にも果物などよりも豆類や海藻類・野菜類に多く含まれています。
これらを効率よく摂取できるのが、以下のような食品です。
豆類
大豆食品・いんげん・小豆など
玄米や全粒粉小麦などの未精製穀物
玄米・雑穀・オートミールなど
緑黄色野菜
ピーマン・かぼちゃ・ほうれんそう・ニンジン・トマトなど色の濃い野菜
自律神経失調症改善に役立つレシピ例
自律神経を整えるためには、肉類は少なめにして豆類などをメインにした料理が理想です。
- 豆腐とトマトのスープ(クックパッドのページ)
- 厚揚げ入りひじきの煮物(クックパッドのページ)
- 雑穀ごはん(クックパッドのページ)
- 豆ごはん(クックパッドのページ)
- ニンジンとかぼちゃ入りのホウトウ(クックパッドのページ)
- ピーマンの野菜詰め(クックパッドのページ)
これらのレシピはほんの一例です。不足してはいけない栄養素や食品を参考にしてレシピを考えてみましょう。
『油』が不調の原因になっている可能性もある
最近では、普段使っている「油」が健康に影響を与えていることは、テレビなどでもよく取り上げられるようになりましたね。
使う油によって、「中性脂肪」や「コレステロール」は変わってきますので、ヘルシーな油を使うことでメタボリックシンドロームや生活習慣病を予防することができます。しかし、油が与える影響はそれだけではありません。
実は、自律神経失調症と深いかかわりのある「脳」と「神経」に対しても大きな影響を与える成分でもあることがわかっています。
また、自律神経失調症などの精神疾患の治療には正しい食生活を送ることも重要視されていますので、摂取する油も気をつけるべきだと言えるでしょう。
今回は「油」と「自律神経」の関連性や、上手な摂取方法をまとめました。
自律神経失調症にオメガ3が良い理由
人体に健康な油は「オメガ3」という種類の油で「不飽和脂肪酸」「αリノレン酸」ともよばれます。
「シソ」「えごま」「亜麻仁」などの植物に多く含まれ、江戸時代まで日本人が主に使っていた油です。
またオメガ3系の油は青魚にもたくさん含まれていることで知られ、「DHA」や「EPA」に変換されて血液をきれいにして炎症を抑え、細胞を蘇らせるなど多くの健康効果があります。
また、このDHAやEPAには、脳細胞神経を活性化させる働きがあることがわかっています。
自律神経失調症になる原因には、脳細胞とそこから分泌される「神経伝達物質」のバランスの狂いがありますが、DHAやEPAにはそれらの脳内物質を健全に保つ作用があるのです。
最近では「キレやすい子供に青魚を」とか「魚を食べると知能が発達する」などと食育の現場で叫ばれているのも、オメガ3の油が人の神経と脳に良い影響を与えることが解明されているからなのです。
「油」は健康を維持するためには絶対に必要な栄養素ですので、「どんな油を摂るか」ということで、心と体の状態も違ってくるのはとうぜんのことですね。
オメガ6は悪影響を及ぼす可能性がある
「オメガ3」系統の油が体によいことはわかりました。
しかし、あまりたくさん摂ることで自律神経に悪影響を及ぼす油もあります。
それは「オメガ6」という油です。
「リノール酸」「飽和脂肪酸」とも言われるこの油は、牛肉や豚・鶏肉などの動物性脂肪を原料とするものです。
適量であれば人体に必要な栄養なのですが、現代人は許容量をはるかに上回る量を摂取していると言われています。
オメガ6が自律神経に悪影響を与える原因は、”炎症を引き起こす”ことです。
リノール酸は摂取量を超えてしまうと消化しきれずに変異して毒性をもちます。それが細胞に触れると炎症を起こしてしまうのです。
自律神経は炎症があると興奮する「交感神経」が活発になります。
”自律神経失調症”の原因は、交感神経が副交感神経に切り替わらないことで起きる病気ですから、オメガ6系の油を摂りすぎると、ダイレクトに自律神経のバランスに悪影響を与えることになるのです。
オメガ3を上手に摂るコツ
最初に少し書きましたが、鎖国がとけるまえの江戸時代までは日本人が使う油のほとんどは、シソやえごま・亜麻仁からとれたものを使っていたそうです。
またその頃までは動物性タンパクといえば魚介類しか食べられていなかったので、「オメガ3」の摂取に関しては日本人は理想的な食生活を送っていたことになります。
それが食の欧米化が進んで牛肉・豚肉・鶏肉の摂取が格段に増え、またマーガリンやバター、乳脂肪分などのオメガ6系の油に取って代わられたのです。
また、日本人の「魚離れ」もオメガ3の摂取が減少している原因です。
しかし、現在ではオメガ3の大切さや、オメガ6の過剰摂取による健康被害の心配が取りざたされるようになり、多くの健康食品やサプリメントでオメガ3を摂取できる時代です。
とくにメタボや生活習慣病の心配がある人や、偏食で魚を好まない人には、オメガ3が配合されたサプリメントを利用することは有効な方法だといえるでしょう。
優れたコスパと実感力で人気のあるサプリメントは「DHA&EPAオメガプラス」という商品で、その名のとおりDHA、EPA、オメガ3系脂肪酸を豊富に含むサプリメントです。
魚をあまり食べない方でもこういったサプリメントを活用することで、必要な栄養素を手軽に補給することが可能になります。
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毎日とりたいサラサラ成分【DHA】+【EPA】
【この記事のまとめ】
- 自律神経失調症改善には「アミノ酸」「ミネラル」「ビタミン類」を適度に摂取することが大事
- 自律神経失調症を改善する食品には「大豆製品」「未精製穀物」「緑黄色野菜」が有効
- 食事を決まった時間に規則正しく摂ることで体内時計が安定して自律神経失調症改善に役立つ
- オメガ3は脳神経細胞を活性化させ自律神経失調症を改善する
- オメガ6は変異すると炎症を起こし交感神経を刺激し自律神経のバランスを狂わせる
- オメガ3を健康的に摂取するには、サプリメントや健康食品が取り入れやすい