【改善事例あり】体と神経を意識的に休ませることで症状が改善したケース
自律神経失調症の原因の多くはストレスからもたらされます。
普通の社会生活を送っているだけでも人間関係や仕事上のストレスを蓄積させる毎日を送るのが現代人の宿命になりつつあります。
ストレスは自律神経のバランスを崩し、生体機能、または脳機能にまで悪影響を及ぼしますが、決して「突発的」なものではなく、蓄積されて徐々に「負の貯金」をしたあげく、ダムが決壊するように発症します。
現代人はストレスから完全に逃れることは難しく、簡単に生活スタイルを変えるわけにもいきません。
ですから許容量を超えないよう、ストレスが溜まりきる前に積極的に体と心を休める、という日常のメンテナンスが大切なのです。
この記事の目次
精神的ストレスが生む自律神経失調症
すべての人が自律神経失調症を発症するわけではなく、かかりやすい人とかかりにくい人がいます。
たとえば、「会社で上司に怒られた・・」ということが起きたときでも、ある人にとっては笑い事で済まされるような軽い出来事であっても、違う人にとっては人生の大問題にまで重く受け止める場合もあります。
これは、幼少期のトラウマや衝撃的な印象を受けたことなどにより、脳内の「敵を記憶する」「危険を察知して記憶する」という機能が関係しています。
一度体験した嫌な経験や恐怖を感じたことや、自分に危害を加えた相手の特徴や、その時の環境、状況などを脳はインプットしていると言います。
そのときと似たような状況が起きた時に、すぐさま「敵が来た」「危険な状況」という信号を送り、コルチゾール、ノルアドレナリン、βエンドルフィンなどの対処ホルモンを分泌するのです。
職場や学校での不快な体験を帰宅してから思い出しただけで、この機能は作動してしまいます。
これが交感神経を活性化させて全身を興奮、緊張状態に導いてしまうことが自律神経失調症の原因となります。
苦手を克服することは容易ではない
誰しも苦手な人・一緒に居ると落ち着く人がいるものですし、好きな場所や嫌いな場所、得意な場面、苦手な場面などもあります。
これらも前述の脳のインプットに深く関係していると言われています。
「良い人だとは分かっているんだけど・・」
と心では理解していても、どうしても避けたくなる人などは、自分の脳が敵としてインプットした条件と共通項が多いのかもしれません。
これらは深層心理の深い部分にあり、自分でもコントロールできにくいものです。
精神分析医療は長時間かけて心理の奥底に隠れているトラウマの原因を突き止めて、プログラムを置き換えるように呪縛からの開放を試みますが、非常に難しい治療だといいます。
膨大な時間を要することもあり、また的確な施術できる医師が少ないのが現状です。
パソコンのアップデートのような作業をするのですが、人間の深層心理の書き換えは簡単ではありません。
ストレスへの上手な対処方法
前述のように自律神経失調症にかかりやすい体質を改善するのは難しくとも、ストレスに対しての対処法はあります。
実際に脳は「危険」と認知し、全身に信号を送っているわけですから、自分で自分に言い聞かせるようなメンタルコントロールは難しく、うまくいきません。
それよりも積極的に「休息」と「リラックス」を生活に取り入れることで、ストレスの蓄積を防いで心の体力を蓄える方が実践的な対処法なのです。
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もし仮にストレスの原因が家庭外の職場や学校などにあるのなら「生活の二分化」を試みましょう。
外での人間関係や悩みは、帰宅する時間をきっかけにすっかり忘れ、プライベートの時間を充実させるのです。
新たに自分の好きな趣味に時間を費やしたり、スポーツ、リラクゼーションなどで心身ともにリラックスできるものを探すとよいでしょう。
2年間自律神経失調症に悩まされたYさんが「積極的なリラックス法」を取り入れ症状が改善した事例
工場で勤務していたYさん(29歳男性)は、価値観や考え方の違いから、なかなか周囲になじめずにいました。毎日出社しながらも、「もっと違う職につきたい」「早く辞めたい」という想いを常に抱えていました。
ある日、いつものように働いていると、急な動悸と息苦しさに襲われました。5分くらい経つと、徐々に症状が収まりました。
最初は「疲れかな?」と思い気にしていなかったのですが、次の日の残業中、また同じような動悸に襲われます。
不安に思い、症状についてインターネットで調べてみると、「精神的ストレスによる症状」である可能性が高いということがわかり、翌日仕事を休んで心療内科を受診しました。
診断結果は、「自律神経失調症」でした。
インターネットで調べていたとおりの診断結果でしたが、Yさんはかなりショックを受け、「この先どうなってしまうのだろう」と強い不安感に襲われました。
職場の上司や保健師に相談の後、3か月間休職することになりました。
1週間に1回のペースで病院に通い、医師に「この1週間どのように過ごしていたか」「どのような症状がでたか」など、経過報告をします。その症状に合わせて、薬が処方されました。
通院して1か月が経ちましたが、Yさんの病状はまったく改善されませんでした。毎日のように今後のことを考え、不安で仕方なく、憂鬱な日々が続いていました。
「このままでは一生治らないかもしれない」
そう思ったYさんは、何か良い改善方法はないかと書店に向かい、関連する本を読み漁りました。
すると、どの本にも「ストレスを排除しリラックスできる時間を意識的につくることが大切」といったことが書かれており、「悩んでいても何も変わらない、まずはやってみよう」と思ったYさんは、書籍に書かれていたことをすぐに試してみることをにしました。
Yさんが試したリラックス法
Yさんが実際に試した方法は以下の3つです。
- ストレスだと感じることを徹底的に避けた
- 自分が「心からやりたい」と思ったことだけをやった
- 不安に感じることは一切考えないようにした
まず、それまでストレスに感じていたことを、意識的に避けるようにしました。
職場の人と会うこと、「緊張」を伴う場面などをあえて避け、リラックスすることに徹しました。
また、これらの行動による「罪悪感」や「後ろめたさ」も排除するよう努力しました。
そして、自分のやりたいことを優先し、心から楽しめること、リラックスできることを考え、積極的に行ったのです。
- 毎日のように温泉へ行きリラックスした
- 肩こりと首こりに悩まされていたので、マッサージに通った
- 毎日好きなものを食べ、幸せをかみしめた
- 旅行を計画し、存分に楽しんだ
- 外に出たいときはサイクリングやウォーキングを行った(やりたくないときは無理してやらないようにした)
このように、気が進まないことは避け、毎日やりたいことだけを行ったのです。
こうした生活をひと月ほど続けていると、気持ちが少しずつ上向き、今まで悩まされていた動悸や息苦しさ、不安感、憂鬱、イライラなどの症状が改善していることに気がつきました。
3か月経った頃には、すっかり元気を取り戻し、前向きな考えができるようになりました。
「もう一生このままかもしれない」と諦めかけていたYさんですが、元気な自分を取り戻し、無事仕事に復帰することができたのです。
このように、ストレスからくる症状を改善するためには、積極的に「休息」と「リラックス」を生活に取り入れることが大切です。
ストレスに感じることから逃げ、別のことに「没頭すること」を意識しましょう。
ストレスを受け続けると疲労感を感じますが、ボーっと横たわっていては頭の中をストレスの原因がよぎり、リラックスできません。
「休息」と言っても部屋でゴロゴロして断続的に悩みを思い出しているのではなく、心からリラックスできる環境に身をおくことが大切です。