ストレスを味方につける方法~定期的にあえて負荷・刺激を与えることも大切~
みなさんもご存じのとおり、多くの精神疾患の引き金となっているのが「ストレス」です。
「癒やし」という言葉も流行し、ストレスを排除することこそ健康的な生活の基本だとも考えられています。
しかし、ここに落とし穴があります。
少し意外に思われるかもしれませんが、過度にストレスを避け続けることが原因で、自律神経に問題が現れることもあるそうなのです。
ここでは、そんな繊細で難しい「自律神経とストレスについて」の関係性を解説してみます。
この記事の目次
ストレスを避け続けることが逆効果になる理由
自律神経は「交感神経と副交感神経」に分かれていて、交感神経が優位な状態が過度に増えることで自律神経失調症になると考えられています。
そのため、ある程度知識がある人は、交感神経の働きを抑えるためにその原因となるストレスを、生活の中から排除しようと心がけると思います。
たしかに、ストレス社会と言われる現代ではその方法も有効ではありますが、自律神経失調症には「もう一つのケース」があります。
”もう一つのケース”とは、過度にストレスを避けすぎる生活を続けることで、逆に「交感神経がほとんど働かなくなるタイプ」の自律神経障害です。
定年後の老人や、大病をわずらい安静にしている人、または最近急増しているニートなどに見られる、”逆パターン”の自律神経失調症です。
一日の活動時間が極端に短く、外の世界に触れない「まったくストレスを受けない環境」もまた、自律神経を狂わせる原因になるそうです。
この場合の症状としては、「交感神経」が働きにくくなることで、「やる気が出ずに体がだるい」、「常に眠気があり集中できない」などが現れます。
こういったパターンの自律神経失調症でも、やはり体の機能が低下して免疫力が下がり、さまざまな病気を引き込んでしまうようです。
ストレスを敵とみるか味方とみるかで結果は変わってくる
「すべてのストレスを避けるようにしていた」という方は、その行動自体が健康を壊してしまう恐れがあります。ストレス自体が悪ではなく、また交感神経そのものが病気の原因ではないということを覚えておきたいものです。
本当に良くないのは、
- 「ストレスを解消せず溜め込みすぎる」
- 「ストレスを受けすぎて交感神経が副交感神経に切り替わらなくなる」
このような状態のことです。
ストレスに対して「ストレス耐性」という言葉があります。これは、ストレスに対して強いか弱いか?という基準のことを言います。
ストレス耐性は「筋肉」のようなものであり、いきなり急激に強い刺激を受けると疲れて果て壊れてしまいますが、ストレスを避け続け甘やかしているとどんどん弱くなっていきます。
疲労を怖れて楽ばかりをしていれば、筋肉は発達せずに弱体化して少しの運動でも辛くなりますが、うまく疲労を解消しながら体を動かすことで筋肉は成長し、辛い仕事でも比較的楽にこなせるようになります。
すべてのストレスを「敵」と見てしまうのではなく、「良い刺激・負荷」と考えてうまく付き合っていくことで「ストレス耐性」は強化され、結果も大きく変わってくると考えられます。
ストレスを味方につける考え方3つ
ストレスを「敵」とみるか「味方」とみるかは自分次第で決めることができます。
もし「味方」につけることができれば、自律神経失調症の予防や改善に多いに役立つでしょう。
以下に、ストレスを味方につけるために効果的な3つの方法をご紹介します。
1)自分の視点を自分から外す
ストレスを作り出すときには、自分の目から周囲を見ています。
自分の意識が自分の中にあり、そこから外を眺めているときに、人は感情が中心となり神経質になり過ぎてしまいます。
そのため、残業などで辛い仕事でストレスを感じているとき、または会社で上司に怒られるなどしてストレスを感じたときには、自分の視点を自分から外し「自分を他人」として見るようにしましょう。
「ああ、私は今すごく頑張って仕事をしている」とか、「また私はミスをして上司に怒られている」など、自分をまるで他人のように見ることで、感情的にならず冷静になり、ストレスをかわすことができるようになります。
2)ストレスの後の「幸福」を想像する
ストレスは受けている真っ最中には辛いものですが、そこから開放されたときには「幸福感」を感じるものです。
お風呂屋さんでサウナに入り頑張って汗をかき、その後に冷たいビールやジュースなどを飲むと、いつもより何倍も美味しく感じるはずです。中にはこの美味しいビールのためにサウナに通う人もいるほどです。
ストレスもこれに似た性質があり、そこから開放されたときのことを想像することで、ストレスがストレスでなくなります。
3)ストレスを「トレーニング」と考える
さきほどもに書いたように、ストレスは避け過ぎるとストレス耐性が弱くなり、適度に受け続けると強くなります。
ですから、ストレスそのものを「トレーニング」だと考えることで、精神的に追い詰められることはずいぶんと減るはずです。
実際にスポーツ選手は辛いトレーングをしますが、それで精神を病んでしまうことはありません。それは、辛いトレーニングをした先に「強くなった自分」を想像・期待できるからです。
こうして、たくさんのストレスを経験して打ち勝った人は強くなり、少々のことではストレスを感じなくなります。
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おわりに
人にはバイオリズムがあり、良いとき悪いとき・辛いとき・楽しいときが交互に訪れます。
そのため、やはり「楽な部分」ばかりを求めようとするといろいろな無理が生じてしまいます。
自律神経も同様に、ずっとリラックスばかりをしていると交感神経がうまく働かなくなるばかりでなく、いずれは無力感に襲われることになります。
定期的にあえて負荷と刺激を与えることで「ストレス耐性」が強まり、ストレス障害を遠ざけられるということも覚えておくとよいでしょう。
【この記事のまとめ】
- ストレスを避けすぎると逆パターンの自律神経失調症になることがある
- ストレスを「味方」と考えることでストレス耐性が強化されて結果も変わる
- 自分を他人として見ることでストレスは軽減される
- ストレスの後の「幸福」を想像することでストレスが楽しくなる
- ストレスを「トレーニング」だと捉えると精神を病んでしまうことはない