要注意!自律神経失調症を放っておくと思わぬ病気に?

「自律神経」は、人体のほとんどの部分に関係し、生体活動そのものをコントロールしています。

そのため、自律神経が不調をきたしてしまうと全身に悪影響を及ぼしてしまいます。

自律神経失調症の症状は精神的、肉体的両方に現れる可能性があり、また症状の度合いも人によって様々です。なかなか原因がはっきりしないことから、つい体に出る症状をあまり気にかけなかったり、他の病気を疑ったりしてしまうことも多いようです。

しかし、自律神経失調症を放っておくと思わぬ病気に発展したり、他の症状を引き起こしてしまう可能性があります。

こうなる前に、少しでも「おかしい」と感じることがあれば、一度内科や精神科に行って診てもらうことをおすすめします。

自律神経失調症を放っておくと、以下のような症状が起こる可能性があります。

1.慢性的な頭痛

頭痛には偏頭痛緊張性の頭痛があります。
脳の機能そのものが原因の頭痛ももちろんありますが、意外と多いのが自律神経が引き金となっている頭痛です。

「偏頭痛」は心臓の動きに合わせたようなズキズキした痛みを起こします。これは自律神経のひとつである「交感神経」の上昇によって収縮した血管に大量の血液が流れ込むことで血管に負担がかかり痛みを発するからです。

「緊張性の頭痛」は「鈍痛」ともいい、首や肩、頭部の筋肉が緊張で収縮して神経を刺激することで起きる慢性的な頭痛をいいます。「ただの頭痛」と軽視していると思わぬ病気が隠れていることもありますので、頻繁に症状が出る場合は早めに受診するようにしましょう。

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2.めまい・ふらつき

自律神経は脳に必要量の血液を送る役割も果たしています。

自律神経失調症になるとこの機能が低下して脳が酸欠状態になり、めまいやフラつきを感じることがあります。

脳に必要な酸素が運ばれないので、ひどい場合は失神してしまうこともあるようです。

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3.過呼吸症候群

呼吸器は自律神経がコントロールする代表的な器官です。

突発的な出来事や、過度にストレスがかかり続けることで、交感神経が異常なほどに活発になることがあります。

息を吸い過ぎたり、吐くことができなくなったりするのが過呼吸の症状です。

また慢性的に自律神経のバランスが悪い場合は、特別なことが起きなくても「なんだか息苦しい」といった症状が続く場合もあるようです。

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4.過敏性腸症候群

腸の病気でもないのに、お腹の調子が悪くなることがあります。

神経質、責任感が強すぎる、完全主義、他人の目を気にしすぎる・・など、いわゆるストレスに弱い人に症状がでやすく、この場合も過度に交感神経が上昇していることが原因です。

また自律神経がまだ未発達な小学生低学年くらいの年齢のお子さんも、過敏性腸症候群になりやすい年代だと言われています。

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5.嘔吐症

過敏性腸症候群と似たケースで「吐き気」として症状が現れる場合があります。
神経性胃炎・胃潰瘍などもこれに含まれます。

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6.不整脈

心臓は自律神経の繊細なコントロールにより安定して動いています。
自律神経が乱れるとオンとオフの切り替えが不規則になり不整脈を示すことがあります。
また就寝時などに脈が速く打ち始める「頻脈」なども自律神経失調症の症状と考えられます。

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7.リウマチ

リウマチなどの膠原病は原因不明ですが、近年ストレスによって症状が悪化することが確認されています。

8.うつ病

自律神経失調症を長く患った場合、もっとも注意しなければいけないのが「うつ病」です。
ストレスが原因で自律神経のバランスを失い、それによって不定愁訴(不快な症状の総称)が現れます。

そして体の不調が新たなストレスの原因となり、悪循環を繰り返します。
長期化した自律神経失調症のために脳の神経伝達物質の働きが破壊されると、うつ病になるリスクは高まります。

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9.ガン

ガン細胞の発生はストレスと深い関わりがあることが知られています。
またガンにかかりやすい人の特徴として、交感神経が過剰に上昇しやすい人が挙げられます。

10.腰痛

腰痛の原因は明らかになっていないことも多く、ヘルニアが原因の場合であっても「なぜヘルニアになるのか?」までは科学的に証明できないのが実態です。

近年では心因的なことが腰痛の原因なのではないか?という推測もあり、人の心と腰痛の関係性を書いた本がベストセラーにもなりました。

自律神経失調症の観点から見ると、交感神経が上昇することで筋肉が硬直し、血流が悪くなることで、疲労物質の回収と酸素の供給が不十分になり、腰椎や神経の修復・蘇生が不十分になると考えられています。

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11.首こり・肩こり

自律神経失調症の方に多い症状が『首こり・肩こり』です。これを放っておくと、心身にもさまざまな影響を及ぼすことがあります。

パソコン・スマホのやりすぎは自律神経に悪影響を及ぼす│その理由と対策は…でも書いていますが、実は首と自律神経は密接にかかわっており、首への負担がそのまま心身の不調を招く恐れがあるという説があります。

長時間のデスクワークや姿勢の悪さによって首に負担をかけ続けると、血行が悪くなり、自律神経が正常な働きをしなく(しづらく)なります。

これが頭痛摂食障害などの身体的症状、イライラ不安感などの精神的症状を引き起こす原因と考えられます。

おわりに

自律神経失調症のメカニズム自体がまだまだ解明されていない部分もあります。
これまで原因不明であったり、治療が困難な病気が「実は自律神経が原因だった」というケースも少なくないのです。



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